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夜明けの星 9-14(雪夜)
――覚えてる。
青と白の世界。
冷たくて……
寒くて……
鼻の奥がツーンってなって……
耳も痛くて……
それなのに……
心はほんわか温かくて……
だって……みんなが――
***
「――……っ!浩二さんっ!そのまま入って来ないで下さいってばっ!」
「ぁんだよ~、ちゃんと落として来たぞ~?」
ん~……?
夢現の雪夜の耳に、夏樹と浩二の声が聞こえて来た。
「床がびしょびしょじゃないですか!あ、ちょっと!そんな状態で寝室行かないで下さいよ!?」
「うっせぇなぁ~。はいはい、拭けばいいんだろ拭けば!」
「起こして来るから、兄さんらはそっちで待っててくださいっ!」
ふふ、仲良しだなぁ~……
夏樹と浩二のやり取りは、佐々木と相川のやり取りを見ているようで楽しい。
言い方は雑だけど、お互い信頼し合ってるのがわかる。
いいな~……
「雪夜~、おはよ~。そろそろ起きる?」
「……ん……」
ゆっくりと目を開けると、思ったよりも近くに夏樹の顔があった。
夏樹さん……カッコいいな~……
笑った顔も……困った顔も……怒った顔も……
ぜ~んぶ……
「しゅき……」
一瞬驚いた顔をした夏樹が、ふわりと微笑んで額に軽くキスをしてきた。
「俺も好きだよ」
「……?」
「寝ぼけながら誘ってくるような子はこのまま襲っちゃおうかな~……」
「……ふぇ?」
夏樹がいたずらっぽく笑うと、首筋に口唇を這わせてきた。
「っん……」
あれ?これって夢じゃ……
なんかやけに気持ちい……
えっと……あの……ちょっと待っ……
「ナツぅ~!雪ちゃん起きたかぁ~!?」
「ふぁっ!?」
寝室の扉をノックする音と浩二の声で完全に目が覚めた。
「……ざ~んねん。今日は邪魔者がいっぱいいるから無理だな」
夏樹が小さく舌打ちをして、ちょっとむくれた顔で雪夜から離れた。
「ほぁ!?え?あの、な、なちゅきしゃ……?」
「おはよ!外で煩いのが待ってるから、そろそろ起きようか!」
「おいこらっ!聞こえてるぞ!?」
「う、うるしゃいのって……え、と、あの……」
「……う~ん、とりあえずはコレでいいかな。はい、バンザーイ」
「え?あ、はい……」
扉と夏樹を交互に見ながら軽くパニクっていた雪夜は、気が付くと夏樹に着替えさせられていた。
いつの間に!?
っていうか、俺もなんで違和感なく普通に着替えさせられてるの……!?
しばらく子どもの状態になってたらしいけど、俺ってば夏樹さんに世話を焼かれるのがなんだか当たり前になっちゃってる!?
うわぁ~……俺ダメ人間だぁ~~……
「お、雪ちゃん起きたか~?おはよ~!」
「おはよう。顔色は良さそうだな」
リビングに行くと、コーヒーを飲んでいた浩二と斎が手を振って来た。
「あ、おはよーございます」
「雪夜、朝ご飯食べたら今日はちょっと外に行ってみようか」
「え?」
「裕也さんたちが待ちかねてるだろうからね」
「裕也さん?」
そういえば、浩二さんと斎さんの他に、裕也さんとなお姉も来てるんだっけ……
「んじゃ、飯食ったら出て来いよ。もっこもこにしてな!」
雪夜が朝ご飯を食べ始めると、斎と浩二が新たにコーヒーを入れたカップを一つずつ手に持ってリビングから出て行った。
「裕也さんとなお姉は外にいるんですか?」
「うん、外で遊んでる」
「……へ?」
外で……遊んでる?
「ほら、よそ見してると落とすよ?」
「あっ、はい。すみません……」
寝起きのせいか、いまいち夏樹さんたちの話しについていけない。
まぁいいや。
外に行けばわかるよね!!
雪夜はひとまず、朝食を食べることに集中することにした。
***
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