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SS2【嘘恋×きみ猫(クロスオーバー)】

※このお話は『嘘恋×きみ猫』のクロスオーバー作品です。  双方の本編とは関係ありません。  雪夜は精神年齢と共に身体も2歳頃のサイズになっていると思ってください!脳内変換よろしくお願いします。  『きみは不機嫌セラピーキャット』未読の方でも大丈夫な内容になっていると思います。  気楽にサラッとお楽しみ下さいね! *** 《~はじめましてのおともだち~》 ――とある春の日。『わくわくアニマルふれあい牧場』の “小動物ふれあい広場”にて。  雪夜はお気に入りのミニブタを元気に追いかけていた。 「ぶぅしゃ~ん!まてまてぇ~~!!」 「雪夜~、転ばないようにね~!動物さんには優しくよしよしだよ~!」 「あ~い!」    夏樹の声に手を挙げて返事をしながら、ミニブタを追いかける。  でも、なぜかなかなかミニブタに追いつけない。 「ぴよぴよしゃん、よしよし!こっちのぴよぴよしゃんも、よしよし!あい、おしまい!」  広場には他の小動物もいて、雪夜の足元に近寄ってくる。  ミニブタに追いつけないのは、近寄って来る小動物みんなをナデナデしているからなのだが、雪夜本人はそのことに気付いていない。   「あ~んもう!ぶぅしゃんどこいったの~?」  ちょっとひよこに気を取られている間に雪夜が追いかけていたミニブタの姿が見えなくなった。 「ぁっ!いたっ!」  ミニブタを探してキョロキョロしていると、広場の隅に置かれた藁の上にゴロンと寝転がるミニブタを発見。  雪夜は、さっき追いかけていたミニブタか確かめようと、そ~っと近付いた。 「ぶぅしゃ~ん、ねてましゅか~?ちょっとなでなでしましゅよ~……ぁっ!?」  小声で話しかけながらミニブタに触れようと手を伸ばした雪夜は、横から伸びて来た自分より小さい手に驚いてサッと手を引っ込めた。 「?」  隣を見ると、1歳くらいの子どもが大きな瞳を見開いて、ちょっとびっくりした顔で雪夜を見つめていた。  だぁれ?  しらない……ヒト? ――「雪夜、今日は貸し切りじゃないからね?雪夜の知らない人たちも何人か来ると思うけど、みんな動物さんを見に来てるだけだから……怖くないからね?もし怖くなったら夏樹さんのところにおいで……」  ここに着いた時、夏樹にそう説明されていたのだが、ミニブタを追いかけるのに必死だった雪夜は完全にそのことを忘れていた。  ほわぁ~……ちっちゃいおてて……おっきなおめめ……ぷっくりほっぺ……  あかちゃん……かな?  雪夜は自分よりも小さい子をこんなに近くで見るのは初めてだった。  びっくりして胸がドキドキしていたが、相手も驚いている様子だったので勇気を出して話しかけてみることにした。 「あの……あのね?ゆちくんはね、ゆちくんだよ?」 「う?」 「う、じゃないの!ゆちくん!あ、ちがう。ゆち……ゆ、き、や!」 「う~て~ま!」 「ちが~う!ゆちやだよぉ~!」 「う~だぉ~?」  その子は困った顔で首を傾げた。  しょ~か……まだあかちゃん……むじゅかし~ね~……  雪夜は、この子はまだ赤ちゃんなので上手に言えないのだろうと納得した。 「……あかちゃん、おなまえは?」 「り~!」 「り~くん?」 「あい!」  雪夜が名前を呼ぶと、“り~くん”が嬉しそうに手を挙げて返事をした。 「り~くん、ぶぅしゃん、しゅき?」 「ぶぅ~!ち~!」 「ぶぅしゃん、かわいいね~!」 「ね~!」  二人で顔を見合わせて、うふふと笑った。 「ぶぅしゃん、むっちむちね~!」 「ね~!」  雪夜がミニブタをそっとナデナデすると、それを見たり~くんがペチペチとミニブタを叩いた。 「あ!り~くん、めっ!ぶぅしゃんは、よしよし、やしゃ……やさしく、だよ~?」 「あ~い!」  雪夜がり~くんに優しくナデナデするよう教えていると、 「雪夜~、ミニブタさんいた~?」 「莉玖(りく)~!ミニブタさん触れたか~?」 「あ、なちゅしゃ~!」 「あ~の!」  それぞれ聞き覚えのある声がして同時に笑顔で振り返った。  が、 「ぅにゃっ!?」  夏樹がいると思ったのに、雪夜の真後ろに立っていたのは見覚えのないちょっと目つきの悪い男だった。 「ん?あ、悪ぃ、驚かせちまったか?ごめんな~?あ、オレこんな顔してるけど怖くないよ~!」 「雪夜、お待たせ!」  知らない人に驚いて固まっている雪夜を、急いで駆けて来た夏樹が抱き上げた。 「ごめんごめん、ちょっと電話がかかってきちゃってね。どうしたの?ミニブタさん、触れた?」 「なちゅしゃ!ぶぅしゃん、ねんね!」 「うん、ブタさん寝てるね~」 「あのね、り~くん!あかちゃんよ~?かわいいね~!」 「え?ああ、り~くんってその子のこと?」 「うんうん」 「そかそか、おともだちにお名前聞けたんだね。良かったね!雪夜スゴイ!頑張ったね~!」  夏樹を見て安心した雪夜は、り~くんのことを一生懸命夏樹に説明した。  夏樹は、うんうん、と嬉しそうに雪夜の話しを聞いてくれた。 「莉玖~、お兄ちゃんに遊んでもらってたのか~?」  そんな雪夜たちの隣で、目つきの悪い男は二ッと笑ってり~くんを抱き上げた。 「あい!あ~の!ぶぅ~ちゃ!よちよちね~!」 「そうかそうか、ブタさんをよしよししたんだな。良かったな~!」 「あ~い!」 「でもな、このミニブタさんはねんねしてるだろ?だから、今はそっとしておいてやろうな。莉玖もねんねしてる時に邪魔されると嫌だろ?」 「……ねんね?」 「うん、ほら、あっちにもミニブタさんがいるぞ?あっちのミニブタさんをよしよししにいこう!」  男が少し離れたところを歩いていたミニブタを指差した。 「やっ!」 「ええっ!?イヤなのか!?」 「う~も!」 「え?」  “り~くん”こと莉玖は、雪夜を指差した。 「あのお兄ちゃんと一緒がいいのか?」 「あい!」 「う~ん……あの、すみません。えっと、あ、この子は莉玖って言います。オレは綾乃(あやの)です。初めまして」  り~くんを抱っこした男、綾乃が夏樹と雪夜に話しかけて来た。 「あ、初めまして。夏樹です」  夏樹も簡単に挨拶を返す。 「この子は……」 「ゆちくんでしゅ!」 「うん、雪夜です」  夏樹の改まった様子に、雪夜もペコリと頭を下げた。 「あの、雪夜くんはまだここで遊びますか?もしまだここで遊ぶなら、うちの莉玖と一緒に……」 「あぁ……雪夜、どうする?り~くんともう少し一緒に遊ぶ?」 「あい!いっしょにあしょぶ!」 「きゃ~!いっと、ね~!」  莉玖が嬉しそうに笑って雪夜に手を振った。 *** 「り~くん、おててつなご~」 「あ~い!」  雪夜は、り~くんと手を繋いで他のミニブタに向かって行った。 「「大丈夫かなぁ~……可愛いけど……いや、マジで可愛いな……」」  夏樹と綾乃は、足元がふらつきながらも手を繋いでポテポテ歩いて行く二人の様子に声を揃えて呟き、同時にスッとカメラを構えた。 「「あ……」」  親バカ全開の言動にお互い顔を見合わせて苦笑しつつ、連写ボタンを押した―― ***   ~おまけのあとがき~  蒼井です。嘘恋の完結からおよそ一週間。  完結後もリアクションやコメントをたくさんいただき感動しっぱなしです。  蒼井の他作品にも目を通してくださったり、嘘恋を読み返してくださっている方も多数いらっしゃるようで、本当にありがとうございます。  とっても嬉しいです!  有難いことに、リクエストや続きが読みたいと言う声もいただいたので、もう少ししたらまた続きを書いて行こうかと思っています。  今回はリクエストの中から、『きみは不機嫌セラピーキャット』とのコラボを!という声をいただいていたので、おまけのSSを書いてみました。「もしも……」の世界なので、本編はあまり気にせずにお楽しみくださいね。  ところで余談ですが、読者のみなさまはここまでの嘘恋の話の中で、お気に入りのシーンやストーリーはありますか?  「第〇章の〇話の〇〇のところ~」という詳しい内容じゃなくても「第〇章の話」や、「両片思いの間」「両想いになってから」「子ども雪夜になる前、後」「サブキャラ軍団が出て来る話」などなど、ふわっとした感じでもいいので、教えていただければ嬉しいです。  詳しいコメントをいただければ蒼井がクルクル回って喜びます!  でも、コメント欄に「第〇章の話」の一言だけでも全然大丈夫です!それでも蒼井はクルクル回って喜びます!  純粋に蒼井が知りたい!というのと、続編を書く時の参考にもさせていただこうかなと。  続編のプロットはあるのですが、詳しいストーリーはまだないので、どんなところに力を入れて書こうかな~と悩み中で……なので、お時間のある時にでもぜひぜひよろしくお願いします!    蒼井葉月   ***

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