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Yuki Side 2-1
……なんで?
大地がいきなりキスをしてきた。
その事実が頭をぐるぐるする。
あれ?なんか目の前が暗くなってきた俺、このまま……
景色が暗転してそのままわけわからなくなって……
………
…
気がつくと、暗い部屋のベッドの上で寝ていた。
あれ?ここって自分の部屋?俺どうしたんだっけ?思い出せ……。
そっと、起き上がるとベッドの脇に人の気配がして、驚いてそっちを見てみると……。
「……大地?」
大地がベッドの脇で布団に突っ伏して床に座っていた。びくともしない。
もしかして大地も寝ちゃっていた?大地をじっと見ているとなんだか色々思い出して来た。
そうだ、俺ってば、大地にキスされた……んだ。
つか、その前に城野に襲われた。あれ、あのまま、大地がこなかったら、俺ってばどうなってたんだ?
あれって……俺って。"ごーかん"されてた……。
ってやつ?
……うそ。
なんか今日はいっぱい色々あって頭ぐるぐるしてきた。すると、
「有希?起きたんだ?」
大地の声がした。大地も起きたみたいだった。
「うん」
「よかった。このまま起きないかと思っちゃった」
部屋が暗くて、大地の顔が見えない。でも、暗くてよかった。だって、どうやって、大地の顔を見ていいかわからないから。
「ごめん大地。俺……」
「急に気ぃ失ったから驚いたんだから。俺お前、引きずって帰ってきたんだよ」
あはは、と乾いた声で笑う、大地。
すると、家がすごく静かなのに気がついた。今何時なんだろう?伯母さんとかどうしたんだろう?
「伯母さんは??」
「今日さ、母さん遅いんだよ。なんか、同窓会とか言ってた。父さんはいつものことで仕事で遅いけど。
俺すっかり忘れてて。ご飯。どうしよっか。母さんには、適当に食べるからいい。とか言ったの忘れちゃってた」
俺は見えない大地の顔をじっとみて言った。
「お腹すいてないから、大地だけ何か買ってきて食べてて」
「俺もあんまり空いてないから」
しばらくの間。
大地は何も言わない。どうしたらいいんだろう?大地は俺のまたベッド脇に座りなおした。
大地が軽く俺の頭を撫でる。その手はとっても優しくて……。
「・・ごめん。ほんとに、いきなりキスして」
それ・・・
「・・なんで?俺にキスしたの?大地も…大地も城野みたく俺を……?」
怖いけど、それが聞きたい。
「違う。押し倒したいのはそうだけど。でもね、違うんだよ……」
大地はそっと俺の頬を優しく撫でてしずかに顔を近づける。
「俺はね、有希が大事なんだ」
「大事?」
「そう、一番。誰よりもね」
「誰よりも?」
鸚鵡返しにただ聞き返す。そして、・・・その先は。
「大好きだから」
それが、答え。
大地が、ベッドの上に乗って俺にまたキスをしてきた。最初のキスよりも今のキスのほうがより優しい。
嫌じゃない。キス。
俺、大地を好きなのかな?
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