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Heart grows fonder

認めてしまおう。 これは恋だ。 高嶺の花に恋をした。 認めたからって楽にはならないんだけど。 成就させたいとは思ってない。先輩がフリーなのは今だけだから。 すぐに真下先輩よりいい人が現れて、すぐにさらっていく。 「そう言ってもらえて嬉しいけど、今日はこれで」 万亀と彼女持ちの先輩以外の野郎が俺のこと射殺しそうな目で見てるの分かってて言ってるよね、この子。 どんなに可愛くても、興味が沸かない。 どうしても、清瀬先輩を超えられない。 それが答えだ。 「じゃあ先輩、俺たちはこれで!」 万亀がサッと立ち上がって食事代をテーブルに置く。俺も財布を出してそれに倣った。 「万亀も帰るのか?」 「はい。千景の友達と合流します。どのみち男の方が多いし、人数のバランス取らないと」 「まぁそうだけど。チカちゃんと話弾んでたじゃん」 「もー先輩、からかわないでくださいよー」 万亀はケラケラ笑いながら俺の腕を掴むと、「じゃあまた月曜日に! ありがとうございましたー」っつって歩き出した。 俺もとりあえず会釈をして、万亀についていく。 「ってか万亀は良かったのかよ」 「えーめっちゃ居づらいもん」 「チカちゃんと話弾んでたんじゃねーの?」 「チカちゃん俺と話しながら幸太の方見てたからね?」 「チカちゃん見る目ねーな。幸太は完全にあの可愛い子しか眼中になかったじゃん。ってか幸太より万亀の方がいい男だろ」 「だよねー。やっぱ千景は分かってるよねー。ところでさ、千景の知り合いの人はどこにいるの?」 あ、どこだろ。 清瀬先輩と八月朔日先輩だから目立つと思うんだけどな。 キョロキョロと辺りを見回すと、端のテーブルに2人を見つけた。 「あっちだ」 「今さらだけど俺も一緒に行っていい?」 「いいんじゃねーの? そういうの色々言わなそうだけどな」 万亀と2人で先輩たちのテーブルへ向かう。 八月朔日先輩が俺たちに気づいて、笑顔で手を振った。 「万谷くん、さっきぶりー。来てくれたの?」 「あっちすげー居心地悪いんで。先輩たちといたいな、って」 「素直だねぇ。そっちの子は? 友達?」 「そうです」 「飴宮 万亀です。キャンディの方のあめみやでーす」 「ちなみに下の名前、万に亀です」 「え、すげー縁起良さそう!」 ですよね。 先輩たちもそれぞれ名乗ると、万亀は「本物の清瀬先輩…!!」って感動して笑われていた。 本物って。

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