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第27話
先輩たちと一緒にバーミャンを出て、ぶらぶらとモールへ向かう。
「へぇー、じゃあそのまま席立ってきちゃったんだ。もったいないことしたんじゃない?」
「えー? そうですかぁ? だって何か感じ悪かったし」
「でもまぁ、女の子たちも面白くなかったかもよー? めちゃくちゃ可愛い子がいたら、もうそれで試合終了みたいなとこあるじゃん」
「あー。まぁそうですよねー」
さっきから、さっそく仲良くなった万亀と八月朔日先輩が話してる後ろで、清瀬先輩と俺は会話なく足を進めている。
いや、あの、ほんと…何しゃべったらいいですかね…? 誰か教えて。
恋を自覚した途端 何もできなくなるのやめてマジで、俺。
「…万谷くん」
「っはい」
びっくりした…!
びっくりして変な返事になった。
「…彼女、欲しいの…?」
「いや違います」
光の速さで否定してしまった。今のガチトーンじゃなかった? 俺。大丈夫?
「何かちょっと、その、悩んでることがあって」
「?? 悩んでたから合コン来たの?」
「合コン…ですかね、あれ」
「多分そういう類いだと思うけど…」
まぁ、男女がグループで会ってたらそうなる、か…?
「…すごく可愛い子、いたね」
「え? あ、先輩じゃなくて?」
「へ…?」
あれ? 俺いま何て言った?
清瀬先輩の顔が、ぶわっと赤く染まった。
え、可愛い。
「っちょ、なん、」
「いや、すみません! 他意はありません!」
他意はない、ってこういう使い方であってたっけ!? 分からん!! すげー動揺してる。
何を口走ってんだ、俺は…!
「ちょっとーぉ、八月朔日先輩、千景が清瀬先輩口説いてますぅ」
「おい、万亀やめろ。そんな失礼なことしてない」
「えっ、すいちゃん、万谷くん、俺たち邪魔じゃない?」
「八月朔日先輩に至っては何でちょっとワクワクしてるんすか」
「あの、俺を口説くのは別に失礼なことじゃないからね…?」
「ちっ千景!! 口説いていいって!! ご本人が許可を!!」
「万亀は落ち着け」
俺の心臓がやばい。
やばいくらいうるさいし、やばいくらい動いてる。
「ふふー。万谷くんはいい子だねぇ。すいちゃんの言った通り」
「え?」
「ほんとにクソの真下の後輩?」
「ほんとに後輩ですけど…」
八月朔日先輩…ほんとにほんとに真下先輩のこと嫌いなんだな…。
まぁ、八月朔日先輩は清瀬先輩とすごく仲が良さそうだし…そりゃ友達を雑に扱われたら嫌いにもなるよなぁ。当然。
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