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第47話
「そんな一言では言えないくらいひどい…?」
あ、これは先輩悪い方に勘違いしてる。
「先輩の一挙手一投足に俺は翻弄される勢いなんで」
「えぇ?」
「けど、そんな自分も嫌いじゃないっつーか。俺ってそういう一面?もあったんだなー、って」
「何か…万谷くんだけで納得してない…?」
「してますね」
先輩がちょっと不満そうに俺を見上げる。
あぁもう何してても可愛い。可愛すぎる罪確定。
こんなに近くにいるのに、先輩が遠い。こんなに大好きなのに。
「万谷くんは、あの…上手く言えないんだけど、不思議だよね」
「俺が? 不思議ちゃん?」
「不思議ちゃんじゃなくて」
先輩が可笑しそうに笑う。そうだよな。俺、不思議ちゃんじゃない自覚あるし。
「俺のことすごい褒めてくれるし」
「褒めるとこしかないからですね」
「何か…俺に甘いし」
「厳しくできるわけないじゃないっすか」
こんなに可愛いのに。
「最初から普通に会話してくれたし」
「最初…」
真下先輩から『3番さんあげる』って言われたあの日、か…?
「史生くんとシノくんは小さい頃から一緒だから、もちろん普通に会話してくれるんだけど。同じクラスでも、ちょっと避けられちゃうって言うか…」
あ。
俺の頭に、担任が言ってた言葉がぽんっと思い浮かんだ。
『清瀬は周りにどこか遠巻きにされちゃってなぁ…ちょっと心配してたんだが、後輩と仲良くなれててよかったよ。あれだけ綺麗だと、女子のやっかみもあるみたいでなー』
先輩もしかして…客観的に見た自分の容姿を自覚してない…?
「先輩、つかぬことをお伺いしますが」
「え、うん。何?」
「自分の容姿…見た目ってどんなだと思ってます?」
「?? 普通でしょ?」
「ふ、普通!?」
先輩が俺の反応に目を見開いた。びっくりした顔も可愛い。
「普通っていうのは、俺みたいなののこと言うんですよ!?」
「万谷くんは…かっこいい、よ…?」
「ぅぐゥ…ッ」
心臓!!
大好きな人に、かっこいいって言われた…!! 何これ、俺 今日死ぬの? 命日なの?
「先輩、俺 前から気持ち悪いくらい何度も言ってますよね!? 先輩は、美人なんです! 綺麗なんです! めちゃくちゃ可愛いんです! ほんと自覚してください!!」
「え、えっと…」
「俺だけがそう思ってるんじゃなくて、大多数がそう思ってますよ。綺麗過ぎて、近寄れないだけです」
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