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第48話
「あの…史生くんもよく『可愛い』って言ってくれるけど、それって小さい子に対する『可愛い』と同じだと…」
「同じじゃないっすよ! 八月朔日先輩は分かんないっすけど、少なくとも俺は小さい子に対する『可愛い』とは別です!」
じゃあ何? って聞かれたら困るけど!!
先輩のこと、恋愛的な意味で好きなんで!!
「じゃあ…何?」
「推しを愛でるみたいな」
「推し…?」
「例えが悪くてすみませんけど、多分 周りは芸術品鑑賞するみたいな…そんな感じだと思います」
だってほんと超一級品のビスクドールみたいだもん。鼻筋通ってるし、目も唇も形からして一級品。肌もすげぇ綺麗。
「万谷くんも…?」
「まさか。だって先輩、ちゃんと心があるじゃないっすか。あー…その、最初に会った時、淋しそうだったり悲しそうだったり、けど笑ってくれたり。そうやって表情動くの知ってるし」
そう、あの時は先輩あんまり笑わない、って話を万亀から聞いたんだっけ。全然そんなことなくて、よく笑ってくれるのが嬉しい。
「綺麗すぎるから、気後れしちゃうって言うか、そういう感じですよ、きっと。だから、もし先輩が仲良くなりたいって思う人がいたら、先輩から声かけてみるといいかも知れないっすね」
「そっ、かぁ…。ちょっと話しかけづらかったのかな。俺も結構 史生くんの後ろに隠れちゃったりとかしてたから…」
八月朔日先輩がちょっと羨ましかったりもするけど、そこは羨んでも仕方ないからな。俺と八月朔日先輩とじゃ、過ごしてきた時間が違うし、清瀬先輩に向ける感情も違う。
「あの、じゃあ万谷くん」
「? はい」
名前を呼ばれて、清瀬先輩を見る。
先輩は何だか照れたような、恥ずかしそうな…そんな最強に可愛い表情で俺を見上げた。
あっ、心臓やばい。
「えぇと…万谷くんのこと、色々知りたい、な…」
「ンぐふッ」
ときめき過ぎて変な声出たし!! 心臓めっっちゃ痛ぇ!!
先輩その不意打ちはずるいっす!!
「なん、俺、俺ですか?」
「万谷くんと、仲良くなりたいし…ダメ、かな…?」
「全然!! 全くダメじゃないです!」
一気に体温が上がった感じがする。汗が…!
でも先輩、そういうとこほんとにずるい。単純な俺は、際限なくどんどん舞い上がってしまう。
「じゃあえっと…休みの日は何してる?」
「主にゲーム、ですかね。万亀と通信とかして遊んでます」
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