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I want to cherish this feeling
「おはよう、すいちゃん! 土曜日のでぇとはどうだったかな~?」
月曜日。
教室を覗き込んだ俺は、滑り込むようにすいちゃんの前の席を占拠した。ここ誰の席だっけ? 山田くん? まだ来てないからいいよね。ちょっと貸してね。
「おはよ、史生くん。…デートじゃないけど。楽しかった、よ」
ちょっとはにかむすいちゃん可愛すぎない?
あぁ、でも安心。こんな風に柔らかく笑う顔見れて。
「写真展行ったんだっけ?」
「うん。すごく混んでた」
「あー、じゃああんまりちゃんと見れなかった感じ?」
それは残念な…。
「…っそう、なんだけどね。あの…人多かったから、ゆっくり見たいね、って…。それで、放課後、また行く約束、した…」
「~~っっ」
何それ、最高!!
「すいちゃん、小悪魔だね」
「えぇっ?」
「そう言えば、あのうどん屋行ったんだね。万谷くんからLINEもらったよー」
「あ、うん。美味しかった。ありがとうね、史生くん」
うーん。俺が個人的に万谷くんからLINEもらうのは特に気にしないんだなぁ。
「万谷くん、律儀だね。史生くんにLINEしたんだ」
「んん? ん? 嫉妬? ヤキモチ?」
「っち、違いますけどっ?」
何で敬語? 可愛いな、動揺してるのバレバレじゃん。
「ところで、今日のカーディガン可愛いね。新しいやつ?」
グレーに水色のラインが入ってる。似合うな。
「これは、その、土曜日に…買ったやつ」
「そーなんだ!」
「…万谷くんが選んでくれた」
「そぉなんだぁ!!」
「史生くん、声大きいっ」
待って。にやけちゃうから。俺の表情筋すごい活躍してるから。
「仲良しじゃん」
「う…そう、かな」
「そうでしょー? カーディガン選んでくれたんでしょ?」
「でも、それは俺が先に万谷くんの靴選んだから。だから、俺も選んでくれる?って」
「靴は万谷くんから選んで欲しいって言われたの?」
「うん。こだわりとか特にないから、って」
「そっかぁ~。でも、どうでもいい人に靴選んでとは頼まないよね。万谷くん、すいちゃんのこと好きじゃん」
「すっ…」
おぉ、真っ赤になった。かわい。
「…か、可愛い、とは…言ってくれる…」
「脈あるんじゃない??」
「……同性だよ?」
「万谷くん、性別とか気にしないよ」
それそんなに重要っすか? って言いそう。
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