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第63話
何で伝わんないのかなぁ。(2回目)
まぁでも。可愛いすいちゃんのために力になりますか!
「そしたらさぁ、すいちゃん。今日からお昼一緒に食べよう!」
「えっ」
「俺も万亀くんも一緒にいるから。俺から万谷くんと万亀くんに、お昼一緒に食べよ~! って送っとくよ」
善は急げ。
パパパッとスマホを操作して、2人にLINEを送る。
「最初は4人で。徐々に2人で食べれるよーになろうね!」
「う…うん…?」
「どんどん距離つめてさ、俺の隣は清瀬先輩じゃなきゃダメです、って言わせよう!」
「っそ、ぉあ…」
お。脳内で想像したな?
まったく可愛いんだから。
「今度はさーぁ、ゆっくりじっくり好きになればいいんだよー。『いいじゃん、付き合おうよ』ってぐいぐい焦らせるタイプじゃないんだしさ、きっと会いたい時に会ってくれるだろうし、すいちゃんの気持ちを何より大事にしてくれると思うよ、俺は」
「史生くん…」
「すいちゃんさ、クソと別れてからすごく笑うようになった。俺はすごく嬉しい」
それが誰のおかげかだって、ちゃんと分かってる。
「…変だよね。あんなにショックだったのに」
「変じゃないよ」
「怒ってもいい、って言ってくれたんだ」
「うん」
「嫌だって言っていい、殴るくらいしてもいい、って。そんな風に言ってくれたのも、付き合ってたのに淋しかったんじゃないかって気づかせてくれたのも、万谷くんだった」
「うん」
「単純だよね。それだけで、会ったのが万谷くんで良かった、って思った」
「うん」
「…涼輔と別れて良かった。って思った」
俺はすいちゃんの髪に手を伸ばす。そっと撫でると、すいちゃんはふにゃりと可愛く笑う。
「涼輔と会う前に万谷くんに会いたかったな…」
「万谷くんに会うために必要なクソだったんだよ、きっと」
「そう……あの、さっきから『クソ』って何?」
え、今? 今気になったの?
「名前も呼びたくない大嫌いなすいちゃんの元カレですけど」
「涼輔のことだね」
「うん。そう」
すいちゃん雑に扱って傷つけて手離したの一生後悔しろと思ってるからね、俺は。
そう言えばあいつ、また女の子と別れたって噂になってたな。万谷くんたちと同じ学年の、すごい可愛い子って聞いたことあるけど。
どんなに顔がよくても節操なくて性格悪ければね、話にならないよね。クソでクズだよね。
あと周りにいるやつらも、谷口が特に気に食わない。クソがクソだから類友。
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