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第8話 降りる ♥
「友也、どお?」
白いシーツと白い枕に身を預けている俺は問いかけられた。
普段は自分でも触れることのない箇所を広げれて感想を求められても答えようがない。
枕を抱いて背を向けている恰好をしている俺は若干後悔をし始めていた。
自分から望んだこととはいえ、どうしたらよいのか正解が分からない。
正解の態度も分からないままに抽挿で揺れる体を支えている。
結構奥深くまで差し込まれて思わず大きな声を出してしまい自分の声に驚いた。
もう十分過ぎるほど開いている部分からは抽挿の都度に淫らな水音が聞こえ、、動き触れられる度に体がビクつく。
こんなことまでしてるのに全然羞恥心は手放せないし、今更やめてとは言えないし…向いてないとしか言いようがない。
これでいいのだろうか?と恐る恐る後ろを見たら、遼太と普通に目が合ってしまった。
「やっと、こっち見た」と嬉しそう、「後ろからじゃなくってさ」と言われ普通に前を向かされてしまう。
当然いろんな所が丸見えで…、絶対に赤くなっている顔をどうしたらいいのか分からない。
遼太の指が耳を隠すまでに伸びた俺の髪を拾い、垂れ気味の目が心配そうに俺を見る。
「泣いてるかと思った」と言われ顔を背けそうになった。
どうしたらいいか分からなくて後悔はしてたけど、泣いてはいない。
嫌ではない…、嫌ではないんだけど…。
どうしたらいいのか…。
遼太にどういう態度をとったらいいのかと聞くワケにもいかず黙り込んだ。
彼の手が俺の頭を撫でて、俺の好きな人懐っこい笑顔を向けてきた。
「友也の考えていることはよく分からないけど、かわいい。」
かわいい…。
同級生なんだけど…。
男なんだけど…。
子供みたいに頭を撫でるなよっ…。
バカにされているようで少しイラつく…。
…あれ?でも少し嬉しいかな?
ホント、俺はどうかしている…。
にこにこしながら頭を撫でる遼太の態度が優しいので言い返したくなった。
俺を組み敷く遼太に言った。
「俺に欲情できる遼太の方がかわいいんだよっ!!」
「ヨクジョウ?何それ。」
「ムラムラするって事!!」
「そういうことか、俺は今すごいムラムラしているっ!!」
俺よりは確実に大きい遼太の体が覆いかぶさってきて、暴れる俺の頬とか首筋に顔を擦り付けてきた。
「かわいい」と「ムラムラする」を連呼されてイラつくというか照れるというか。
なんか懐いている犬みたいな動きにくすぐったがっていると、甘く囁いてきた。
「かわいい友也、続きしてもいい?」
そんなこと言われると当然顔が赤くなるワケで…。
「かわいいのはお前だぁぁ!!」と叫ぶ口をキスで塞がれて、広がる足のその奥に遼太のモノが埋まる感触。
少し驚いたけど、嫌じゃない。
大きく広げられ他所は痛みとも快楽ともつかぬ感覚を与え体をヒクつかせる。
嫌ではない、嫌じゃないということは…。
多分俺も俺の体も遼太の事が好き。
甘い言葉でも返せればいいのだけど「すきにしていいよ」言うのが精いっぱいで…。
俺の了承を取った遼太が遠慮なく、あちこちガンガン舐めくるし、激しく腰を動かしてくるし、続けてしてくるし、「もう一回イってみようよ」とか言って俺をイかそうとしてくるし…。
俺の言葉を真に受けた遼太に好き放題されてしまった。
それは別にいいんだけど、俺の口から漏れる声が止まらないのが恥ずかしくて困った。
カーテンから透ける西日で明るかった部屋は月明りだけになり、暗くなったら急に眠くなってきた。ここ数日眠れなかった俺、眩暈のような睡魔が襲ってきて意識が途切れそう。
目を開けていられなくなってフラつく俺を揺さぶりながら「友也!!寝たら襲うぞ!!」と冬山ギャグを飛ばす遼太に「死ぬぞだろ…」とツッこんだのを最後に意識が途切れた。
途切れる意識の中、遼太に手折られて、ひと時愛されて零れ落ちて行った花達は哀れではなく、最上の美しさを認められて歓喜のままに地に降りたんだと気づいた。
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