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第14話 琥珀
「嫌です!伯爵様!仲間同士となど!」
カシエルが計算通りに事を進めて、さっさと仕事を終わらせようとしているのにサンダルフォンが乱入してきた。
「やっぱりダメっ!僕も遊びたい。いいでしょ。」
もふもふした赤毛を揺らしながら伯爵の大きい背中に飛びついている。
伯爵もどうしてサンダルフォンを呼ぶのかが分からない。
激しい彼を嫌がっている感じもしたけれど。
計算がが狂って怒っているのかなと思ってカシエルを見ると目が笑っている。
半裸に剥かれている美少女然としたカシエル。
切なげに叫んだ。
「嫌です!伯爵様、私はもうこんなになっているのに…。」
白いスカートから自身の起立したものを見せる。
清楚な美少女は、そんなことしない…。
俺は、思わず首を横に振りそうになった。
「ダメダメダメっ!僕も遊びたい。」
伯爵の背中に体を擦り付けてサンダルフォンが興味を自分に向けようとする。
カシエルも伯爵の胸に飛び込んで体を摺り寄せた。
「嫌です!伯爵様、私と!」
二人に取り合いにされているような状態になっている伯爵。
すごくうれしそうにニヤニヤしている。
サンダルフォンは暇すぎてくっついているだけなのに。
カシエルも性格が悪い。偶然発生した茶番を楽しんでいる。
サンダルフォンが呼ばれるのは多分この取り合いの茶番をさせる為なんだと気づいた。
少し収拾がつかないのでカシエルが伯爵を見上げて真剣に訴えた。
「どちらか、お選びになって下さい。是非私を。」
多分、カシエル的にはどっちでも良いんだろうなと思った。
自分でもサンダルフォンでも。彼の悪い遊びぐせ。
初めて見る状態なので様子を眺めることにした。
暫く考えた末に、伯爵の腕が何故かサンダルフォンに伸びた。
カシエルを避けて伯爵の腕の中に得意げに納まるサンダルフォン。
いちおう選ばれなかったことを悲し気に表現するカシエル。
本当に涙が出ているかは分からないけど、泣いてる風を装ってベットを降りる彼に伯爵が声を掛けた。
「レリエルに相手をしてもらいなさい。」
カシエルの動きが止まるし、レリエルも驚いてるし、当然俺も驚く。
愛妾同士の性交は禁じられている。
なぜ、そんなことを言うのか?
レリエルが伯爵に激しく訴えた。
「嫌です!伯爵様!仲間同士となど!」
もう既にサンダルフォンと事を始めようしてる伯爵が冷酷に告げる。
「お前はもうすぐ14になるのだから、もう要らない。最後に仲間を楽しませてあげなさい。」
勝手な伯爵の言動に「やれやれ、呆れた」と手を上げるカシエル。
突然のことに驚き怒りに震えるレリエルを琥珀色の瞳が優しく見つめる。
ブラウンの長い巻き髪を揺らして彼女の前にしゃがみ込んだ。
小首をかしげて人好きのする笑顔を彼女に向ける。
小さく優しく囁いた。
「‥‥だってさ。」
人のよさそうな垂れ気味の彼の目、いつものいたずら好きの気配は全くなく、ただただ優しく穏やかなだけだった。
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