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第23話 『カシエルの後悔』④ 恥辱と初夜 ♥
「お前は誰だ。」
伯爵の言葉に命運が尽きたと感じるカシエル。
まあ、首を絞められていた少女から関心が自分に移っているからいいかと考えた。
笑顔を崩さないまま伯爵を見つめる。
レリエルが慌てて近寄って来た。
「イエロートパーズ・カシエルでごさいます。ひと月前に迎い入れた。」
伯爵が怪訝そうな顔をした。
「カシエル…?カシエルは銀髪で緑の瞳だったが…。」
「恐れながら伯爵様、それは以前のカシエルでございます。そのカシエルは半年以上前に退席しております。」
「そうか、そうだったな…綺麗で賢い子だった。」
「はい、伯爵様のご寵愛も深く大変幸せな子でしたね。」
レリエルの言葉に頷く伯爵、彼が来る前に寵愛していた愛妾のことを思い出している。
暫くしてカシエルに目を向けた。
「以前のカシエルとは似ても似つかぬ…、お前を迎い入れた記憶はないが。」
伯爵はカシエルのことを完全に忘れていた。そもそも格下の者への嫌がらせの為だけに連れて来られた彼。なんの思い入れもなかったよう。
激しい憤りが彼の中に渦巻く。
そんな心の内を一切見せずに琥珀色の瞳で彼を見つめ真摯に切なげに訴えた。
「私は伯爵様がお忘れでも構いません。去れと言われればそのように致します。ただ、一度だけでもお情けを頂ければ本望でございます。」
伯爵の目にブラウンの巻き髪の琥珀色の瞳の少女が映る。振り向くほどの美しさはないが従順そうで健気さを感じる姿。楽しもうとして連れて来た少女は美しいが激しく気性が荒い。
迎い入れた覚えはないが、この子でもいいかと彼は考えた。
泣いている少女をベットから乱暴にどかし、カシエルを上げた。
彼の顎をつかみ口に親指を入れた。嫌がる素振りもなく従順に受け入れる彼。
「まあ、良いか。」
先ほどまで少女がいた場所に押し倒されて荒々しいキスを受ける。
なすがままにされているが彼にとっては初めてのキス。初老の醜い男にいいようにされる彼。レリエルに『伯爵の好きなようにさせてあげれば良い』と教えて貰ったことを守っているだけ。
気持ち悪さと悔しさから若干目が潤んできた。
その様子は従順で健気に伯爵の目に映った。
白いスカートがたくし上げられて何も身に着けていない下半身がむき出しにされる。
初めて他人に陰茎を触られ体がビクッと反応した。
その初々しい反応に伯爵の目が輝いた。
彼の指示の元香油が垂らされ、生暖かいヌメヌメとした液体が陰茎とこれから挿入される穴へしみこんでいく。
香油でニチャニチャと音を立てられながら擦り上げられた陰茎は彼の意志とは関係なく固く張りつめていく。
「下らない」、「なんて下らないことをしている」激しい嫌悪をよそに醜い男から与えられる刺激に体が勝手に反応し昂ぶっていく体。
時間を掛けることなく精が吐き出された。生理反応で息が荒く顔が紅潮する。
その様子に醜い男が厭らしく微笑む。
股が一段と大きく広げられ香油で濡れた尻穴に男の太い指が差し込まれる。
肛門の粘膜を滑った太い指で抽挿を繰り返されると疼痛に似た淫靡感覚にが伝わり上擦った声が口から漏れだした。
羞恥で顔を隠した手払いのけられて蕩けた顔を晒すことなった。
潤む視線の先に醜い男が酷く喜ぶ顔見えた。
顔を隠すことも叶わない両手が閉じることも叶わない両足の足首を強く掴んだ。
散々嬲られた尻穴に男の陰茎が差し込まれる。
指とは全く違う圧迫感、腸壁の粘膜を奥深く探られ、口からは悲鳴とも快楽とも分からない音が止まらない。
抗えない彼の唯一の抵抗。掴んだ足首には爪が深く食い込んでいる。
醜い男の動きが一段と激しくなり、その大きく太った体を強く押し込まれた時、彼の責め苦はやっと終わった。
終始従順に恥辱を受け、痴態を晒した彼。そこには何の知性も必要ではなかった。
嫌悪と脱力に見舞われるカシエルの耳に伯爵の声が届いた。
「新しいカシエルも良い。」
知性も何も必要ない。蕩けた顔を晒すことだけで名と顔を覚えて貰うことができた。
「下らない。」
誰にも聞こえぬよう呟き、彼の初夜は終わった。
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