38 / 86

第37話 【木陰】② 名前 ♥

「あは、今日も元気だね。どうする?また僕が上に乗ってもいいの?それとも違う格好でしたい?」 張りつめて起立した陰茎に嬉しそうに頬を寄せて話しかけて来る赤毛の少女に、どうしたものかと悩むロザリオ。 淫らな事に興味が無いと言えば嘘になるが、手放しで性交を楽しむほど奔放ではない彼。 ごく自然に性交の体位を聞かれても頭を掻くことしか出来ない。 はっきりしない態度を赤毛の少女に怒られた。 「もう!!時間がないんだから、座ってよロザリオ!!僕がやるからっ!!」 座ることを促されて、枯れ草の上に腰を落とすと、すぐさま強く抱き着かれて激しいキスを受ける格好になった。 少女が腔内に舌を絡めてくる、体温と粘膜が擦れ合う感触が心地よく感じ流されそうになったが、聞かなきゃいけないことを思い出した。 口下手であまり話すことが得意ではないロザリオ、何を話すでもなく情事を重ねてきた。 本当に今更だけど彼の聞きたいことが上がる息にまみれて口から出た。 「名前…、名前教えて…。」 「名前?」 「そう、君の名前…教えて…。」 「言ってなかったっけ?」 「聞いていない…。」 「知らなくてもいいじゃん、気に入ってないんだよね、今の名前。」 「ダメ…、教えて名前。」 「誰かに言いつける気?困るから嫌。」 「違う…名前を知らないと、君を思い出すときに困るから。」 「ふふ…どんな時に思い出しているのかな?ロザリオ。」 「ふざけて言っているんじゃない、本当に知りたいんだ。」 彼の真剣な様子に目を丸くする赤毛の少女、雇用主が変わる都度何度も名前を変えられて少女にとっては名前など意味のないモノだった。しかし、この新しく手に入れた遊び相手が知りたいというなら教えて上げてもいいかなと思った。 目の前にいる黒いクセっ毛の男は従順で可愛いと思っている赤毛の少女。 彼の黒いクセっ毛に指を埋めシルバーの瞳をうっとりと輝かせる。 「しょうがないなロザリオ、僕の名前教えてあげるね。僕の今の名前はグレーダイヤモンド・サンダルフォン。仲間にはサンダルフォンって呼ばれているよ。」 「サンダルフォン…天国の歌を司る天使?」 「まあ、適当に付けられた名前だから深い意味なんかないよ、僕は歌なんか歌わないしね。もう!!ホントそんなことはどうでもいいんだから、時間がっ!!早くしよ…ねっ?」 名前を忘れないように何度か呟くロザリオ、気づけば起こしていた上半身は枯れ草に埋まりサンダルフォンという名の赤毛の少女に乗られている。 白いスカートに阻まれて見えないが自身の陰茎と触れ合っているのは多分少女の持つ陰茎。ヌルついた粘液が絡まった末に少女の持つ狭く温かい穴へ埋め込まれ行く。 自身の体内を広く深く広げられる感触が堪らないサンダルフォンがふるふると震える体を自身の腕で抱きしめた。 その様子がロザリオには辛そうに映る。サンダルフォンを気遣って頬に触れようとするロザリオの大きな手。 撫でられるのが好きなサンダルフォンが大きな手にスリスリと頬を当て濡れた唇から愛おし気な声を出す。 「また僕を撫でてくれるの、優しいね、ロザリオ大好きだよ。」 その様子が健気で可愛らしく映るロザリオ、名前の他に一応確かめたかったのが性別の事だが、もう聞かないでおこうと思った。 長い赤毛を揺らし抽挿を始めたサンダルフォンが「一緒にイこうよ、僕がイくって言うまで出しちゃダメだからねっ!!」とロザリオに何度も言ってくる。 難しい事を言うなと思いつつも頷くロザリオ、サンダルフォンの抽挿が激しくなり嬌声が高くなる、一際大きな声を上げて蕩けた顔でロザリオにお願いした。 「ロザリオ…もう…僕はイくから…最後はロザリオが強く僕を犯して…っ!!」 全身の毛が逆立つ衝動、少女の望みを叶えようとしているのか自身の欲望のままに動いているのか分からないまま上に乗っていた少女を枯れ草の上に敷き激しく腰を打ち付ける。 精を放ち正気に戻ると、目に入ったのはグッタリと放心したサンダルフォンの顔。 「こんな細くて小さい体に俺はなんてことを…。」壊れてはいないだろうか?嫌われてはいないだろうか?と恐る恐るサンダルフォンの顔に触れようとするロザリオ。 頬に触れらた感触に気づいたサンダルフォンのシルバー瞳がロザリオを映した。 若干震える口元から声が発せられた。 「…すごい…すごい良かったよ、ロザリオ!!」 すごく心配したのに、褒められたロザリオがポカンとする。 ついでに「僕もこんなに出ちゃった」と隠れて見えなかったスカートの中を見せられて小さいけど確実に自分と同じモノがついていることも見せられた。 覚悟はしていたけどショックを受けるロザリオのオデコにチュっとキスをして「早く仕事に戻った方がいいよ」と言ってサンダルフォンが帰って行った。 呆然としつつも仕事に戻らないといけないロザリオ。 仕事を離れて、どれくらいの時間が経ったのかよく分からない。 サンダルフォンの玩具にされてる感が強いロザリオは思った。 まずい…、非常にまずい、どんな顔して仕事に戻ったらいいんだ。 すごく可愛いけどサンダルフォンは俺で遊んでいる。 男の子だったな…すごく可愛いけど…。 俺は一体これからどうしたらいいんだろう? 今日は赤毛の少女(少年)の知りたかったことが分かったけど、真面目な青年ロザリオ・ブールドの悩みは深まるばかりだった。

ともだちにシェアしよう!