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第50話 [ラティエルの受難]③ 媚薬と欲情 ♥
「ラティエル、こちらへ。」
俺を手招きしている太いオッサンの指には幾つもの高そうな指輪が付けられている。
また、あの指が俺の体を這い回るのか…、なんとなく覚悟はしてたけど最悪…。
まあ、でも今日は泣いてるサリエルに優しくしてたし良いオッサンのようにも思える。
ちょっとの間、我慢しよう…でも嫌だなっ!!
ベッドに腰掛ける伯爵の前に立つと隣に座るように促された。
えーと、なんて言うんだっけ選ばれた時は…思い出した。
嫌過ぎて顔が上げられないし、声もなんかよく出ない。
「は…伯爵様、今宵は私ラティエルをお選び頂き光栄でございます…。」
「おうおう、相変わらずラティエルは恥ずかしがり屋さんで可愛らしい、近頃は背も伸びて以前とは違う美しさも出てきたな。」
そう言って俺の肩を抱き頭に顔を摺り寄せて来た。
恥ずかしがり屋さんじゃなくって、嫌がってんのっ!!
そうこうしているうちに、俺の頭にあった伯爵の顔が俺の顔に近づいて来て唇が重なり、そのまま口内に舌が入り込んできた。
…ああ、もうしょうがない。
そのまま正面を向かされ顎を持ち上げられると、入り込んでいた舌がもっと深く浸食してきて息苦しい。俺の背中に回されていた手はチャックを下し始め肩やら胸が露わになって行く。
…ああ、もうしょうがない。
脱がされるままに脱がされて、身に纏うのは腰まである俺の真っすぐなプラチナブロンドのみ、何もないよりはましだけど全部脱がさないで良いじゃないか…なんの為の女装なんだ?
この間サンダルフォンがガッツリ脱いだからかな…、風邪は引くしホント迷惑なヤツ。
…ああ、もうしょうがない。
ザフキエルとサリエルは?と横目で見ると…。
えっ?ザフキエル?頭を腕で支えて横寝向きの姿勢ででこっちを見ている?
サリエル…その横で寝てる?寝てるよね?
お前ら、やる気なさすぎだろ!!!
怒りで逆毛立っていたら「ラティエル…。」と名を呼ぶ声が耳に入り、伯爵に集中しなくては怒られてしまうと慌てて向き合おうとしたら、ベッドサイドの引き出しからなにやらゴソゴソ持って来た。
伯爵がホクホクした笑みの元、俺の目下に見えるのは怪しげな色をした液体が入った小瓶とかエロい紋様が施された塗り薬入りの缶とか瓶、高級そうなエロ用品の品々。
前もあったな、このパターン…、あの時は媚薬とか薬とか使われて散々な目にあった。
…ああ、もうしょうがない。
いやいやいや、しょうがなくない!!
すごく変になっちゃうから、ザフキエルとかサリエルには見られたくない!!
伯爵に飛びついてお願いした。
「伯爵様っ!!こういうのはナシでっ!!私、頑張るんでっ!!」
「そうか、では今日は私が飲もう、すごく良く効くと評判でな、前々から一度試してみたかったんだ。」
そういうと『強壮』とか『絶倫』とか書かれた小瓶を何本か飲みだした。
えっ?そんなにいっぺんに飲んで大丈夫?
初老の伯爵が肉厚な体を震わせて突如叫び出した。
「おおおぉぉぉおおっ!!!これはこれはっ!!!!!何か体の奥底から熱いモノが漲ってくるっ!!!!」
伯爵の変貌に驚きを隠せない俺の目に飛び込んできたのは、いつもより1.5倍くらいに大きく怒張している伯爵の…!!!!
飢えた獣のような目をしてるしっ!!吐く息も荒いっ!!!
ちょ…ちょっと待って!!すんごい怖い!!!
恐怖で背中を向けて逃げ腰になってる俺の体にに大量の粘ついた液体をかけて「もう、我慢ならん」と呟き、まだ開きもしていない後孔に熱い塊を押し付けてこじ開けようとしてくる。
お尻を向けて挿れやすい格好にはなっているけど、いつもより大きいのか中々入らない。
粘液でヌルついているのに、体が怖がっているのか閉じたままの窪みがミシミシ言うから、後ろを振り返り叫んだ!!
「ちょっと待ってください!!まだ無理っ!!入んないからぁぁぁあぁっっ!!!」
叫んだのが良かったのか叫んだのと同時に、ようやく先端部分が埋没し、後孔に太い杭が埋め込まれるかのように侵入してくる。
どうしよう…いつもと全然違う大きさで痛い…。
ようやく全て体に収めた頃には汗と震えが止まらない。
両手で掻き抱いた枕に顔を埋めて苦痛の声を出さないようにしようとしても、大きく広げられた箇所の疼痛は耐えがたく呻く声が押さえられない。
「どうだ良いだろう」という声に後ろを振り返ると征服欲と支配欲に満たされた男の顔、首を横に振るわけにもいかないので頷いたら、俺の腰を掴み抽挿を始めようとするから慌てて伯爵の手を掴んだ。
耐えられないし、壊れちゃうからっ…!!
苦しくて、うまく声が出せないけど、この苦痛から逃れられる方法は一つしかない。
「伯爵様…、私にも媚薬を…、使って…、ください…。」
苦痛から解放されようと媚薬をねだる俺の顔は伯爵にどう映ったのだろう?
ほころぶような極上の笑みを浮かべた醜い男から手渡された小瓶。中に入った液体をミルクの様に飲み干すと俺の世界が一変する。
浮き立つ心のままに目の前の男を抱きしめ、温かい舌を絡ませる感触に蕩けそうになった。
さっきまで苦痛でしかなかった大きな肉杭が気持ちよく、腹の内部を擦りあげられるたびに嬌声が止まらなくなった。
座したまま男と向かい合い、良い所を探りながら抽挿を始めると、太った男の突き出た腹に擦れる俺の陰茎が快楽を伝えてきて堪えられそうにないっっっ、乱れる息のまま叫んだ!!
「伯爵様ぁぁあっ!!もうっっっ…俺っ!!イっちゃうからぁぁあっ!!伯爵様もいっしょにっっ!!!ねっ?…あ゛っっ!!あ゛あぁぁぁぁああああっ…!!!!」
叫ぶと同時に激しく腰を突き動かされて、腹の中から響く快楽と共に精液が一気に尿道を駆け上がり男にしがみついて射精した。
震えながら上がる息のままに合わせる口づけの感触…。
男の体に腕を回し、噴出す汗と熱さに欲情する…。
後孔から漏れ出す温かい体液も愛しくて堪らない…。
ああ…熱く蕩けたままに、ずっとこのままで居たいと思った…?
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