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第51話 [ラティエルの受難]④ 痛み 

「いっ…っつたぁぁぁああいっ…!!!」 痛い…、痛すぎるっっっ!!!! 媚薬の効果が醒めたら、普通に尻穴が痛い、痛すぎて涙目というか涙が出てきている。 お尻を抑えながらベッドの上で呻いている俺にザフキエルが駆け寄ってきた。 ザフキエルの黒い瞳が心配そうに俺を見つめる。 「ラティエル!!大丈夫か?」 「大丈夫なワケないっ…!!いったぁぁ…うっぅぅ…。」 「…だよな、楽しそうにやってたけど、まあ、そうだよな。」 「ううぅぅ…あれは俺じゃないしっ…つっっ…。」 痛くならないようにと飲みたくもない媚薬を飲んだけど、最初に無理矢理入れられたのが悪いのか、強壮剤で伯爵のモノが大きくなり過ぎたのか…。 過去最悪の状態…、誰を恨めばいいんだ…。 痛みでブルブル震え動けない俺、ザフキエルが脱ぎ散らかされた白いドレスを拾い上げて着せてくれた。 ベッドの上には、でっぷりしたお腹を丸出しにした伯爵が大イビキをかいて眠っている。 『絶倫』とか書かれた液体の効果なのか、いつもは1回か多くても2回しかしないのに、なかなか射精はしないし回数も2回とかじゃなかったような気がする…、俺も頭おかしくなってたから数えてないけど…。 ザフキエルが「帰ろう、立てる?」と聞かれ頷いたけど、足がカクついて立ち上がれない。 床の上で爆睡をしているサリエルをザフキエルが起こしてきて、二人に支えられてようやく伯爵の寝室を後にすることが出来た。 なんとか眠って起きて、朝になっても昼になっても、すんごく痛い。 俺の日常生活がままならない。 やばい痛みにケツを押さえて転げ回っているとザフキエルとサリエルが責任を感じてか駆け寄ってきた。 黒色の瞳を申し訳なさそうなにさせてザフキエルが俺の背中をさするけど、痛いとこはそこじゃないので当然叫ぶ!!! 「くあぁぁぁあっっつ!!!いたたたぁぁ!!!」 「マジで大丈夫かっ!!ラティエルっ!!!死ぬなぁぁ!!」 「くそぉ…、なんで俺なんだよっ!!あたたた…、ザフキエルがやるって言ってたのにっ!!!」 「俺が力不足で…、でも、こんなに痛かったっけ?まあ、多少は痛かったような?」 「あのオッサン…!!!昨日はヤバい薬使ってぇぇぇ!!あ゛っ、もうっ思い出させないでっ!!」 痛みで転がりまくっていると昨日は全然役に立たなかったサリエルが薬と水を持って走ってきた。 サリエルは泣き虫だから当然エグエグ泣きだしながら言う。 「ラティエル、ごめんねぇ…僕…、全然役に立たなくって…うぇぇぇ…。」 「と…、途中まではっ…!!いい線行ってたけどぉ…、泣くのは、ダメだっ!!…っていうか、マジで泣くのはダメ…ぅぅぅっ。」 「今度は泣かないように頑張るからっ、僕っ!!うううう…。」 その後、痛み止めを飲んで、傷薬を多量に塗ったら少しましになった。 その夕方、さすがに昨日の今日で夜伽はないだろうと安心していると、本邸勤めの使用人がやって来て今日は客人が来るのでもてなす用意をしろと言われた。 …客人?俺達って伯爵専用じゃなかったのか? 俺が来てからはなかったことだが、古株のメンバーの話によるとごくたまにあるそうだ。 伯爵とするのも嫌なのに、見知らぬヤツなんかとするなんて、とんでもない。 本邸勤めの使用人に、今日俺は体調が悪いから行けないと訴えると「ラティエルは必ず連れてこい」と言われていると言われ死にたくなった。 俺をぶっ壊す気かな?あのオッサンはっ!! 残りの人選は任せると言われたので、昨日俺のことを無視した残り三人を連れて行くことにした。 もう、絶対に仏心なんか出さない!!絶対に前になんか出ないっ!! めっちゃ嫌そうな顔をしている残り三人のアリエル、ハミエル、フェヌエルに高らかに宣言した。 「今日選ばれるのはお前らだからなっ!!俺はケツを守って気配を消すから、頑張って働けよっ!!」 …くっそぉ、俺は通常モードが最悪だけど、全てのモードが最悪なんじゃないかと思えてきた。

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