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第56話  [ラティエルの受難][終] 陽光

「カシエル!サンダルフォン!!」 なんだかよく分からない客人との一夜を開けた翌日、久々にカシエルとサンダルフォンが俺達愛妾がいる待機所に戻ってきて、皆が嬉しそうに駆け寄った。 この2匹が風邪を引いたおかげで、ベニトアイト・ラティエルと呼ばれている俺はエライ目にあってしまった。 通常モードが最悪なのに、全モードが超最悪になってしまい、やりたくも無いエロはしまくりで、ケツの穴は痛いし、バシバシ射精はするし、射精させられるし…ああ、気持ち良かった…じゃねぇしっ!!! 出窓に腰掛けて皆に囲まれているカシエルとサンダルフォンを見ていたら、二人の何か様子がおかしい。 風邪から回復しているはずなのに憔悴しきっているカシエルと妙に元気なサンダルフォン。 お前ら、何かあったのか? カシエル?風邪引いてた時の方が元気そうだったぞ? カシエルがいつも座っている窓辺の椅子にドカッと大きな音を立ててダルそうに座ると、もふもふした赤毛を揺らしながらサンダルフォンか後ろから飛びついて嬉しそうに言う。 「カシエルっ!また風邪いっしょに引こうねっ!」 「もう、お前の看病はしない、引きたいなら、お前一人で風邪を引け。」 「一緒にがいい~!」 …って、おいっっっっ!! お前ら一体何があったの?風邪引いて二人で別室に隔離されて寝てたんだよね? サンダルフォンからハートマークがバシバシ放出されている感じがする。 淫乱赤毛に腹黒茶毛がヤられたのか…? まあ、いつも人の事をからかっているカシエルに天罰が下ったのかもしれない、ざまぁカンカンだぜっ!! お前らが風邪なんか引くから、俺がドえろい目に合わなきゃいけなかったんだしっ!! ああ思い出すと、まだ微妙にケツの穴が痛いよ…。 後、あの変な幸薄い客人…、媚薬が媚薬じゃないとか言いやがって…、あれが媚薬じゃなかったら俺がサンダルフォン並な淫乱ってことになっちゃうじゃないか…、ああ嫌っ、最悪。 いちゃつくカシエルとサンダルフォンを横目で見ながら頭を横に振っていたら「おい、平民」と尊大な声が後ろから聞こえてきた。 「平民って呼ぶな!ラティエルって呼べよっ!」と吠えながら声の方に振り向くと、赤色の瞳の双子を後ろに従えた俺様オッドアイのアリエルが腕を組んで偉そうな顔をして俺を睨みつけている。 何?その顔?喧嘩でも売られてる?仕事以外でアリエルとは関わりたくないけれど、とりあえず聞いてみた。 「何…、何の用?俺、なにもしてないよね?」 「ああ、何もしていない。それより昨日のことだが…。」 「昨日?アリエルが実は淫乱で超ノリノリで仕事してたことか?びっくりしたけど、なんか頑張ってたよね。ちょっと興奮した。」 「…!!バカっ!!それじゃないっ!!!見てるんじゃないぞっ!!」 「えっ、じゃあ何の用なの?喧嘩とかは俺、嫌いだしっ!!」 レア組の美人三人に囲まれてビビりまくる俺にアリエルの手が伸び、顎を強く掴んだ。 「何するんだよ」と睨み返したら、アリエルの光るダークブロンドから覗く緑と青の瞳は心配気で、いつもと違う優しい声音で俺に問いかける。 「大丈夫?乱暴されなかった?痛くない?」 …?…?…??? 俺を心配してる?人の顎掴み上げながら? 俺様アリエルよ、言動と行動が噛みあってねぇぞ。 顎を掴まれた手を払いのけて言う。 「だ…大丈夫っていうか、何もしなかったし。」 「何もしなかったと…、あの客人と?」 「なんか勃たないとか言うから…。」 「ブッ!!!」 ダークブロンドを揺らしながら腹を抱えて笑い出したアリエルにイラつく。 何?そのバカにした感じはっ!! 俺だって、そこそこ美人だし!! 勃たないのは幸薄い客人の問題だしっ!! 怒りで震える俺に笑い終えたアリエルが「大丈夫ならよかった。少し心配していただけだ。」と言い残して、レア組の美人三人は俺の前から去って行った。 俺が心配なら、お前が客人の相手をしろよ!! しかし、俺様アリエルに心配する機能がついていたとは…、一応は仲間なのかな?俺達は。 ザフキエルとサリエルが「なんかあったのか?」と心配そうに駆け寄ってきた。 あんまり俺の役に立たなかったザフキエルとサリエルだけど、俺の事を心配してくれている。 んっ……!なんか暖かいな今日は。 最悪すぎて、死にそうだったけど、皆に優しくされたらどうでも良くなってきた。 窓から差し込む日差しが暖かいせいかもしれないけど、なんかすごく心も体も全体的にぽかぽかと暖かい。 カシエルとサンダルフォンも治ったから、やっと普通に仕事しなくてもいい楽なポジションに戻れるし。 春の暖かい日差しを浴びながらプラチナブロンドを日光浴させていると待機所の扉がノックされる音が聞こえた。 序列1位のカシエルが椅子から立ち上がり、ドア前で本邸の使用人と話をして俺に何かを持って来た。 「ラティエルへのプレゼントだって」と言われて手渡させたのは、藤の蔓で編んだ小篭、中にはメッセージカードと赤い飴玉が入った瓶が入っていた。 赤い飴玉が入っている瓶には「超危険!!」「絶対に効く!!」「催淫効果保証」という怪しげなラベルが貼られている。 滝のような汗が止まらない俺に、皆が「何これ?」と興味深々に集まりだした。 ピラッと見て見たメッセージカードには…。 ―プラチナブロンドが美しい君へ― 昨夜は貴方様の可愛らしいお姿を拝見できて、久々に昂ぶりました。 飴玉の方は本物でしたのに全く効果がみられませんでしたね。 偽物の媚薬に反応する人に、本物を与えて淫らに変容する様を観察したかったのですが、何故か余り変化はなかったですね。 媚薬への反応は人それぞれ、乱れたいという気持ちが淫らにさせるのかもしれませんね。 また、お会いできる日を楽しみにしております。 ―君に魅了された レオン・ライドールより― 追伸 君には効かないかもしれないれけど飴は食べ過ぎないでね。 ああ゛っ?何これ?どういうことだよ? 乱れたいという気持ちが淫らって? 俺の元々が淫乱だっていうのかよ? カードを読んでプルプルしている俺の手から籠が取り上げられて、サンダルフォンが飴玉をひとつパクッと口の中に入れた。 サンダルフォンが本当なのか嘘なのかは分からないけど「あっ!!すごいっ!!これムラムラするよっ!!」とか言って、カシエルに飛び掛かって行って、皆で止めに掛かってプチ修羅場になった。 「また、お会いできる日を楽しみにしております」って? まあ、レモングラスの香りは良かったけど…。 言っていることが「嘘」なのか「本当」なのかが分からない、俺の前に現れた幸薄そうな客人。 「お会いできる日」は社交辞令じゃなくって本当だったと知ることになったのは、これからもう少し後の事。 とりあえず、エース2匹が戻ってきたことで受難な日々は終わったと思いたい俺だった。

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