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第11話
蜜とローションのマリアージュは濃度を増す一方で、いかがわしく蒸されるにつれてペニスがふやけるようだ。
空良は歯を食いしばった。射精 そう、我慢しなきゃ、射精そう、我慢しなきゃ。触手くん1号(仮)が日の目を見るようデータを提供する、という大事な使命があるんだ。
大和が、くっきりした眉を寄せた。
「こいつ、ボキャブラリー不足な。俺らをモデルにして使い心地はこんな感じって実演させたほうが早くね?」
「確かに、このままでは埒が明かないね」
さくさく空良をベッドに横たえるあたり、このへんの流れについては打ち合わせずみだ。
おにいちゃんズは肩の両脇にそれぞれ膝をついて、いっせのせでボトムをくつろげる。そして負けず劣らずいきり立っているペニスを、ヨーイドンで握らせた。
「モニターを務めるのと並行してスキンシップを図る。兄弟の絆も強まって一石二鳥だよ」
「しごきっこするのは、フツー」
「そう、正しいマスターベーションのやり方を教えるのも兄弟愛の現れなんだ」
空良は重さを較べっこするように、ペニスを交互に弾ませた。長さといい、太さといい、遜色がないのが遺伝子の妙に思えて興味深い。
武流は最難関の国立大学で法学を専攻し、そのうえ少数精鋭主義のゼミに所属している。聡明な武流が、これは兄弟ならではの愛情表現だ、と断言するのだから信用できる。
一年生のときに在学していた高校のクラスメイトは、クソ兄貴、ウゼェ、が口癖だった。そんな彼も自宅では、お兄さんにべったりと甘えていたのかもしれない。
「ひゃふ、ん……っ!」
容器が今度は斜め上からかぶさってくれば、シリコンも別の角度から鈴口へと這い進む。可愛らしく身悶えするさまをビデオカメラが捉える。おにいちゃんズのペニスが阿像と吽像さながら、右の掌と左の掌をいわば台座に、猛々しく屹立するところも併せて。
空良は唇を引き結んで二本とも握りなおした。改良点その二を提言するためにもがんばらなくっちゃ、と勇み立つ。利き手でぎこちなく、もう片方の手でいっそうたどたどしく、しごく。
「下手くそ。親指の腹をくびれにあてがってリズミカルにしゅっしゅっ、だ」
との仰せに従って、しゅっしゅっと唱えながら指を動かし、
「僕は断然亀頭派だな。指づかいは、こう」
亀頭に見立てて鼻の頭をくりくりされれば、いじらしく真似る。
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