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第48話
夢に出てきたことといい、当麻が別格の存在であることは間違いない。
何しろ初対面の印象が強烈だった。
階段から落ちたところを姫抱っこで助けてもらった、あのときの当麻は光り輝いて見えて、カッコいいと何万回言っても言い足りないくらいだった!
以来、事あるごとに当麻に思考回路を占領されるのは、前世ではもしかするとソウルメイトで、生まれ変わった現在 も魂が呼び合うせいなのかもしれない。
ソウルメイトなんて、おこがましい。くすりと笑い、知らず知らずのうちに何ケ所も固結びをこしらえていたフードの紐をほぐす。
試しにこんな仮説を立てたと、おにいちゃんズに披露したら、
「現世で不運に見舞われる原因を前世に求める考え方と同様で、ナンセンスだよ。考えてごらん、僕たちが兄弟になったのも前世からの因縁かい? だったらピテカントロプス時代の記憶の欠けらが僕たちの人生に影響をおよぼす、という理論が成り立ってしまうよ」
武流は淡々と蘊蓄 を傾けて、
「前世とかってベタな設定な」
大和はひと言で片づけたうえに、今度のおつかいはこれを付けていけ、と尻尾と一体型のローターをこじ入れてきたりなんかして。
と、黒い影がジグザグに視界をよぎった。それはコウモリで、いつしか夕闇に包まれつつある。
「いけない、帰らないと!」
今夜の食事当番は空良だ。武流のリクエストは八宝菜で大和のリクエストはハンバーグだから、作り甲斐があるったら。
エコバッグをかつぎ直して、パタパタと駆けだす。ふと空を仰ぐと、宵の明星がまばゆい。
あと三夜 眠ると連休が終わって、そうすれば当麻とまた学校で会える。そう思うと、なぜかしら顔が赤らむ。
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