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第64話

「おら、世話焼かせんな」  大和が、ふんだくるも同然に空良を抱き取ると、 「会長、ささ参りましょう」  書記の原口と会計の倉田と庶務の佐々木が、当麻の三方(さんぽう)に屏風を巡らせるようにしながら引き戸へと急き立てる。  織姫と彦星か、という具合に引き離されゆきつつ視線が絡む。またね──と。  その夜、空良は武流にこっぴどく叱られた。武流が、帰宅して以来ぶすったれっぱなしの大和にカマをかけて、稽古中の出来事を洗いざらい聞き出した結果、 「校内でムラムラするなんて、空良はそんなにいやらしい子だったのかい? しかも生徒会長に媚びを売るとは情けない、幻滅したよ」 「……ごめんな、さい、ぷふふっ!」  身をよじるたびに、ご存知モフモフの尻尾と一体型のローターが、うぃんうぃんと唸る。  かつて、石抱きの刑という拷問方法が存在した。  まず三角形に削った材木を数本用意して、それを並べる。次に、高手小手に縛りあげた罪人を先述の材木の上で正座をさせる。第三段階では、重い重い石板を太腿の上にどんどん積みあげていく。むくつけき大男ですら泣き叫ぶどころか、しまいには脚が萎えてしまったというから凄まじい。  おにいちゃんズが編み出した石抱きの刑は、下半身をひんむくところから始まる。誰を、と訊くだけ野暮だ。  さて、本日ご紹介いたします逸品はバイブレーター内蔵の座布団なり。ちょこんと座った空良というオプションつきの、それ。  表面が羽毛で覆われたクッションの中に、これまたバイブレーターが装填されている〝前戯くん7号〟をむき出しの太腿の上に十数枚積み重ねて、いっぺんにスイッチを入れると、さわさわな状態が永遠につづく寸法だ。  細工は流々仕上げを御覧(ごろう)じろのうえで、おにいちゃんズは強から弱、弱から強へとスイッチを切り替えて、悶え度を折れ線グラフで表していく。  クリップボード片手に真面目にデータをとっているふりをする点が、あくどい──もとい、心憎い演出だ。

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