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第128話

 情報が氾濫している昨今、知識だけはある。なので、手始めにブラウスの上から乳首をつまんでみた。ところが小さすぎて、マニピュレータで米粒を挟んでいるようにもどかしい。  ブラウスをたくしあげて、 「裾を押さえていてくれないか」  一も二もなくそうしてくれると、空良が自主的にめくったように見える点がミソだ。  当麻は生唾を呑み込んだ。愛らしさとエロさを併せ持つ光景は、恋情が沸点に達する効果をもたらすとともに、肉欲にもダイレクトに訴えかけてくる。  我こそは絶世の美男子と、うそぶいて(はばか)らなかった俺が他人──それも男子にそそられる日が訪れるとは。  恋は異なもの味なもの。そう独りごちると、このキュートな躰の隅々まで触れたくなって(たが)が外れる。真珠色の肌に桜貝の薄片をあしらったような乳首をつつく。 「きゃふんっ」 「すまない、力が入りすぎたか」 「だいじょぶ。腋の下とか足の裏とは違う感じにくすぐったくて……」  くすぐったい、イコール感度良好という意味なのでは。当麻はヨガの呼吸法を用いて、むしゃぶりつきたくなるのを堪えた。  太腿を跨ぐ形にこちらを向かせたうえで、胸元に唇を寄せて、ちっぽけな粒を舌で掘り起こす。細腰がもぞつくたびにスプリングが軋み、それが玲瓏と鼓膜を震わせる。 「ひゃん……っ!」  空良は身をよじりつづけた。くすぐったいと表現したが、別の種類の何かが底にひそんでいて、じっとしてなんかいられない。  ただ、身じろぎするたびに、艶やかな黒髪がさらさらと胸を掃きたてて未知の感覚がかえって強まるから困る。  触手くん1号(仮)や、前戯くん7号のモニターを務めたときとは次元が異なる。躰の芯でとてつもなく巨大なものがうねり、爆発する瞬間に備えて力を蓄えているよう。  いやいやをする反面、さすがだと思う。ペロペロちゅばちゅばと乳首を丁寧に舐めて、生徒会長と敬われる人は何事にも全力投球なんだ。

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