129 / 137

第129話

「や、ぁん……」  乳首から妖しい波動が伝わるにつれて指が小刻みに震えだす。おかげでブラウスの裾をまくりあげておくのは、ウナギを素手で捕らえるように至難の業だ。  それでも当麻がねぶりやすいように、と懸命にブラウスを押さえつづける姿は、すこぶるつきにいじらしい。 「ぅにゅう……ひんっ」  強弱をつけて乳首を舐め転がされているうちに、今度は違う意味での困り事が発生した。ペニスが萌し、それどころか独りでに包皮を脱ぎ去る。  この調子で元気になっていくと、衣装はコーディネイトも重要との理由で穿くよう求められたスキャンティーからはみ出してしまうかもしれない。  大急ぎで後ろにずれた拍子に、尻の丸みで硬いものを押しつぶす形になったような……、  当麻が呻き声を洩らす合間に豪語した。 「俺の特技はサクランボの茎を口の中で結ぶことで、あのテクニックを応用すれば乳首を慈しむコツを摑むのは朝飯前だ」  実際、ふたつの粒はぽちっと尖り、当麻はサクランボ農家並に果実を育てるのが上手だ。  空良は感激のあまり、 「む、むち打ち症を患わせるつもりか」  首をねじ切る勢いで当麻を仰のかせて〝よくできました〟のスタンプを押すように、額をついばんだ。  おさらいめかして再び乳首に吸いつかれると、ギブ・アンド・テイクの八文字が空中に浮かんで見えた。小さく、うなずく。してもらいっぱなしでは不公平だし、理屈抜きにさわってみたい。  なので、いそいそとスラックスの前をまさぐった。 「心の準備ができていない、待ちたまえ」  うろたえたふうに腰を引き気味にするのもかまわず、ベルトを外す。ファスナーが山なりの障害物に(つか)えて手間取ったものの、その程度のことでめげるはずがない。  押しとどめにくる手をかいくぐってボクサーブリーフをずり下ろしたとたん、弾丸サーブが放たれた瞬間を思わせてペニスがまろび出た。 「すごい、ピチピチのプリプリです」 「好きな子に触れているのに勃たなかったら、男子の沽券にかかわる大問題だ」

ともだちにシェアしよう!