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「如月がここに通ってる(・・・・・・・)ってのは確かな筋の情報なんだよ。ヘタにはぐらかそうとすりゃ、どうなるか分かるな?」  男にぐっと顔を寄せられて、ミフユは眉を顰めた。  いつかこんな日がくるだろうと、室内でもサングラスを装着していたのだが、あまり近付かれたら変装がバレてしまう。  幸いにも男は脅しをかけるためにメンチを切ってきただけのようで、ミフユが沈黙したのを、『脅しが効いた』と判断するとすぐ離れていった。 ――この男は今、如月美冬がこの店に通っている、と言ったか。  ミフユが探し人本人だということには気付いていないし、客ではなく従業員側だとも知らないようなので、うまく誤魔化せるかもしれない。  「如月サンとかいうのがどなたが存じ上げませんけど、それなら暫くここで待たれたらどうです?」  パピ江がミフユさん、と悲痛な声を上げたのが聞こえたが、スルーした。こういった手合いは向こうが満足するまで好きにさせるのが一番なのだ。  「フン、こんなカマ野郎ばっかの店でか」  「お酒はお出ししますよ」  サングラス越しに男と睨み合って、微妙な戦いが続く。  こちらは正体がバレるかどうかの戦いも裏で行っていたので、冷や汗が出そうになったが、やがて男の方から目を逸らした。  ミフユから視線を外した男は汚いものでも見るかのように店内を雑に見渡して、もう一度鼻を鳴らすとカウンターの隅の席にどっかと座った。  「酒出せ、酒。銘柄はなんでもいいけど枝豆はぜってーに寄越せ」

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