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メロン色のネグリジェみたいなドレスを纏った彼女の長所は、その裏表のなさだ。ふつうの人は良識ぶって避けていくようなポイントに躊躇なく触れていく。
それは時として短所にもなるのだが、キャメロンの屈託のない笑みはめったに相手に嫌な顔をさせない。
男も例に漏れず、穏やかな調子で答えた。
「鳳凰組っつうとこにいんだよ。仕事はおもに金こねくり回すこと。如月はその仲間だった」
組、と聞いても想定の範囲内だったのかキャメロンは顔色を変えなかった。ふぅん、と相槌を打たれて、男は言葉を続ける。
「今、うちは彩極組ってとこと揉めてんだ。鳳凰組と並んで新宿仕切ってるヤクザだが」
いち従業員に身元をあかす男に、ミフユは眉を上げた。
初めて訪れる店で自分の素性を簡単に語るのは、ただの浅慮かそれほど自分に自信があるかだ。
この八年の間にそこまで偉い人間になったのか、と推測していると、男は続けてキャメロンに語った。
「お前らも気ィつけとけ。近いうち鳳凰組と彩極組はでけぇ抗争をする」
「ええ? それは困るわぁ!」
「そうならねえよう努力はしてるが、まあまず避けられないだろう。だから……今、うちにゃ如月の力が必要なんだ」
ミフユは他の客の話し相手もつとめながら、男の言葉に耳を傾けていた。
「如月が組を出てってもう八年になるが、俺はあいつに代わる相棒を未だに見つけられてねぇ。
俺一人でも喧嘩に負けるつもりはさらさらねえけどよ、やっぱあいつと二人ならもっと余裕じゃねぇかって思うんだ」
「……でも、もしその如月って人が見つかっても、戻ってこないんじゃないのかしらね」
つい口を挟むと、ギロリと刺すような視線が向けられた。
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