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第二話:酒とクスリと男と男

 八年ぶりに再会した、高校時代の同級生兼・元ヤクザ仲間の師走伊吹と、一時的に協力関係を結んだミフユ。  以降伊吹は、たびたび観光ゲイバー・【大冒険】を訪れるようになった。  「で、だ。如月、例の件だが」  年はミフユと同じ二十九歳。  だが、いつも眉間に刻まれた皺とオールバックの黒髪のせいか、実年齢よりも貫禄がある。  スーツだが、並のサラリーマンでは着けない金のネックレスを揺らめかせながら、ミフユを見上げた。  バーカウンターに肘をつき、煙草を吹かす姿は様になっている。  「まずは、俺がいま掴んでる情報を伝え……」  「あらやだっこの人結構鍛えてるわねっ」  「コラコラ、パピ江! ママのお客さんの腕掴まない!」  彼が足繁く場末のゲイバーを訪れるのは、【禁じられた果実】の流通元についての話をすることと。  それだけでなく、協定を結んだミフユが、逃げないように捕まえておくため――なのだろうが。  「……ごほん。如月、今現在分かってることは――」  「師走さん筋肉すっごーい!」  「顔も男前だしっ。吉沢亮のルックスに菅原文太の貫録って感じね! たまんないミスマッチだわ~!」  「胸筋! 胸筋! 胸筋!」  捕まっているのは、むしろ伊吹の方だった。  「――――いま分かってるのはこのオカマ共が心底ジャマだってことだぁあああやめろっ!! ひっつくな! 無い胸を押しつけてくんなあ!」  『きゃあぁんっ!』  客足もまばらな平日の二十二時。  オカマのハーレムに群がられてあちこち蹂躙されながら、伊吹は悲鳴を上げている。  一旦群れを薙ぎ払った伊吹だが、みずみずしい男体には目がないモモたちは即座にまた襲いかかる。  「アンタ根っからの女好きだもんねぇ」  その様を冷めた目で眺めているミフユに、青ざめた伊吹が怒鳴りかける。

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