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 目が点になっている彼に、アキが微笑を浮かべた。  「性別って、二つでも三つでもないんですよ。  キャメロンさんは、お店以外じゃ滅多にオネエ言葉を使いません。  パピ江さんもあまり使わないし、二人とも普段は男性の格好で過ごしてます。  モモさんは、お店でも外でもあの感じですけど――女性と恋愛して、結婚されて、息子さんがいます。  みんな、違うでしょう」  そう言って、伊吹の周りをくるりと回る。  長い巻髪に黒いブラウス、モスグリーンのフレアスカート。華奢な体躯。  その容姿は、一見すると女性にしか見えない。  「私は、女になりたい男なんです」  「男? ……あぁ、まあそうか。身体はな」  しとやかに振る舞うアキが『自分は男だ』と言うと不思議だろう。実際、伊吹はどんな表情をするか決めあぐねている。  「体だけ見れば、私もあなたも同じ男です」  伊吹が、ぐっと詰まる。否定したいがしようがない。  「同じように私とミフユさんを枠に収めるなら、二人ともオネエです。違うように見えても。なぜでしょう」  にっこりと笑うアキに、伊吹は腑に落ちたような顔をした。  「……オカマにも、色々いるから?」  「正解!」  綺麗な微笑みを浮かべるアキに、伊吹はまんざらでもなさそうにしている。  「ちなみに、私はオカマって呼ばれるより、オネエって言われる方が好きです」  「は? そう? ……?」  「そういう人が多いんですよ。覚えることがいっぱいですね」  細い人差し指に、つんっと鼻の先をつつかれた伊吹は、目元をやや染めた。ミフユは眉をしかめる。  「……口で何つったってチンコは反応してんじゃないの」  「バッ、勃ってねえよ!」

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