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 ミフユは目の前で自分の美談が語られる妙なむず痒さに駆られながら、ついっと目を逸らした。  「……言ったわね。やだ、そういう話は本人がいない所でしてよ」  「よくもまあお前、ぬけぬけと……」  伊吹はそんなミフユの横顔をガン見しながら、何か絶句している。  「ですから、偉大なるママのお言葉なんですよ! 師走さん、私が生意気を言ってすみませんでした」  アキは改めてぺこりと頭を下げる。伊吹はしばし二人の顔を交互に眺めて、それからふんと鼻を鳴らした。  「ま、ちっとは心に留めておくよ。世間話程度にな」  「あら。人の話ちゃんと聞くなんて、大人になったのね。伊吹ちゃん」  「いちいち棘のある言い方しやがるな……」  ミフユたちのかけ合いを見たアキはくすりと笑い、それから、はっとして肩を跳ねさせた。  「あ! いけない、私も今日予定があるんでした。そろそろ行きますね。すみません、長々と」  「いいのよ。アキちゃんのおかげでアタシもすっきりしたわ。気を付けて帰ってね」  「はい。それじゃ、また」  ぺこっと頭を下げて、小走りに去っていくアキの背中を見送って、ミフユは伊吹の方を向いた。  「さてと。  それじゃ、たっぷり付き合ってもらったことだし。  竹馬の友のお話でも聞いてあげようかしらね」  「やっとか」  はあ、と重苦しい溜め息をついた伊吹に、ミフユは表通りの方を顎でしゃくってみせた。 「内緒話にはちょうどいい喫茶店があるから、そこに入りましょ。モーニングが美味しいのよ」 ・・・

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