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2−15
ミフユはその時、漠然とした既視感を抱いた。
(八年前は、よくこんな風にカチコミの段取りを立てたっけ。二人で肩を突き合わせて)
あのときとは、お互いの関係も、自分の口調も違っているけれど。
(なんだか懐かしい、のかも)
ちょっとだけ昔の自分に戻った気がして、唇を緩めた。
・・・
一週間後。
「来たわね、伊吹ちゃん」
「――おう」
夜八時、【大冒険】を訪れた伊吹をミフユは粛々と招き入れた。
「入って。はい、こっちに。
アキちゃん! モモちゃん!」
なぜかそのまま彼を店のバックルームに通すと、カウンターに立っていたキャスト二人を呼ぶ。
店の方はパピ江やキャメロンに任せて、四人は更衣室にてさっそく準備の大詰めへと入った――。
最終準備を終えた二人は、伊吹の舎弟が運転する車に乗り、新宿歌舞伎町に降り立つ。
「さあ、行くわよ」
サングラスの下、鋭く目を光らせたミフユに対し伊吹も大きな声で頷いた。
「ああ!」
キリッと強い覚悟が秘められた表情で、大きな一歩を踏み出した伊吹の足が――
――カツン、と音を立てて地面に引っかかった。
「ぐあああ!」
「きゃっ!」
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