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「痛たっ!」
何すんのよ、と怒鳴りかけたミフユだが、仕事モードに切り替わっている伊吹の顔を見て思いとどまる。
(――――彩極組か)
ほんの短時間ですっかり仲良くなったホストの肩を抱きながら、さりげなく集団を観察する。
写真通りの小太りな男、水無月が子分を引きつれて奥のVIP席に入っていった。
そこは他の席からはやや離れて、数段上の位置にある。
ホストに凭れかかるふりをしながら体を傾けると、やっと様子が窺えた。
ややあって、別の黒服集団が入店する。
表情がなく口数も極端に少ない。だが、外国語で言葉を交わしているのが聞こえた。
ズボンに入れていたスマホが振動する。
伊吹からのメッセージで、『取引先だ』とだけ打ち込まれていた。
(取引先……つまり、あいつらが中国マフィアってことね)
集団が水無月のいるVIP席へと向かうのを見送りながら、ミフユはイメージトレーニングをした。
「ユ、ユキコさん」
(人数は五人。彩極組のほうも確か五人だから、計十人か。
こっちは……外で待機してる鳳凰組の構成員が八人。で、アタシと伊吹ちゃん。合計十人ね。一緒)
「うわ、だだだめ、そこっ」
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