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「いい加減にしろよこの変態!」
「だっ!」
パシャリとシャッター音が鳴ったと同時に、頭にチョップが振り下ろされた。
「痛いわね、何すんのよっ」
勢いよく振り返ると、席を立った伊吹に見下されている。
「何じゃねぇよ、そいつフニャフニャんなってるだろうが」
「え、あれっ?」
指摘されて、腕の中を見る。
と、先程からいたずらし続けていたホスト君が顔を真っ赤に蒸気させて、くったりしていた。
「やだ! そんなに飲んだわけでもないのに……可愛い~お持ち帰りしたい」
「バカ言ってねえで行くぞ」
ふんと背を翻す伊吹に、ミフユも立ち上がる。
「ユキコしゃ……?」
ベロベロに酔ったトモキが、不思議そうに見上げてくる。服の裾を引いて止められたが、ミフユはその手をそっと掴んだ。
「これ、今日の分のお代ね。おつりはとっといて」
「え?」
そこへ万札を数枚握らせてから、彼にだけ聞こえるように囁く。
「楽しませてもらったお礼に、ひとつ忠告しといてあげる。
アンタ、今から少しここで横になってなさい。動くと危ないわよ」
トモキを寝かせてから席を離れて、伊吹とともにVIP席へと向かう。
「うまく撮れたか」
「なかなかね」
さっき撮った写真を伊吹にも見せると、満足げな笑みが返ってきた。
画面に映し出されていたのは、水無月がクスリの袋を持っているところだ。取引相手の顔までばっちり映っている。
麻薬取引の証拠をたずさえて、堂々と正面から彩極組の前に立つ。強面の男たちが密談を止めて睨みつけてきた。
「おい、なんだお前ら。ここは立ち入り禁止だ」
ずかずかと特等席に割り込んできた謎の女二人に、向こう側の構成員が一人立ち上がる。
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