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3−3
このまま質問攻めに遭いそうな勢いだったが、伊吹は問答無用で全員を追い出すと、ミフユを振り返った。
「なんか服貸せ」
「着てきた服は?」
「バカみてーなスカートしかねぇんだよ、男物ならなんでもいいから貸せ」
そう言うので、クローゼットから自分のパーカーとジーンズを出してやったが、ふと思い留まる。
「伊吹ちゃん、ズボンの丈合わないんじゃないかしら」
「お前と身長変わらねえだろ! それでいいから貸せっ」
うーんと首を捻りながら服を渡した。
パーカーはともかくとして、ジーンズに足を通すと……。
「…………なんでさほど背ぇ変わんねぇのに足がこんなに余ってんだよ!」
「足の分だけ差が出てるんじゃない?」
「うるせぇ! もう短パンでいいから寄越せ!」
注文の多いヤクザ様だが、ミフユが持つ唯一と言ってもいいハーパンを貸してやると、顔を顰めながらも渋々履いていた。
「ったく、なんで俺がこんなアホみてぇな蛍光黄緑の短パンを……」
「アンタ、お風呂入ってかなくていいの? 貸してあげるわよ」
ミフユも柄シャツに白いズボンを合わせながら尋ねる。伊吹は拗ねたまま答えた。
「結構だ。帰ってから入る」
「そう?」
「やることがあんだよ。体からクスリが抜けねえうちに、血の成分を調べなきゃなんねえ」
それもそうだ。
クラブで【禁じられた果実】を盛られたというのは、二人の症状をもとにした予想に過ぎない。実際は、まったく別の薬を盛られていた可能性もあるのだ。
「調査結果が出たら連絡する。詳しいことが分かるまで、酒控えてじっとしとけ」
「心配してくれてるの?」
伊吹は、眉の筋肉を寄せられるだけ寄せた。
すたこらと歩いていく彼を、「ねえねえ」と肩越しに覗く。
うざったそうに腕を振りながら、伊吹は部屋の外で聞き耳を立てていたキャメロンたちを押しのけ、家を出て行った。
・・・
ゆうべのこともあり、伊吹はミフユと直接顔を合わせるのを避けるかと思ったが、意外にも翌日の夜にまた【大冒険】を訪れた。
「来ると思わなかったわ」
「あ? そりゃ来るだろ。ほら、検査結果」
開店から数時間後にやって来た伊吹は、紙を一枚カウンターに置いた。
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