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スマホ
真っ暗な部屋の中
枕元に置いたスマホがメールの受信を知らせて明るくなった
「どうせ営業メールですかね」
布団で頭まですっぽりかぶってスマホを無視した
ーーー♪ーー♪ーーー♪
今度は電話の着信を知らせてきやがった
しかも長い
「知らない知らない、俺はもう寝てますからねーだ」
誰であろうと俺のこの貴重な時間を邪魔させてたまるか
アイツは今頃、会社の飲み会ではっちゃけて居るんだろうよ
「誕生日……だったのに……」
学生の俺と社会人のアイツとじゃ、時間が合わないのは仕方ないとは思う
「けどさ、誕生日くらい一緒にいたいって思って何が悪いんだよ」
「だから一緒に過ごそうと思ってお前の家に行ったのに……」
スマホの音を聞きたくなくて、布団被って耳も塞いでいたからいつ帰ってきたのかわからなかった
「誕生日、祝いたいんですが?時間無くなりますよ?」
そんなこと言われれば、急いで布団から出ないとダメだよね
ほらコレっと渡されたのは、お揃いの指輪。
「結婚して一緒に住むか」
「え?…………プロポーズがそれで許されると思うなよ!!」
泣きながらアイツの首に抱き着いて、涙も鼻水もいっぱいの酷い顔でアイツの顔中にキスしまくってやった
「結婚してやる、一緒に住んでやる!寂しい思いさせたら、即離婚だからな!」
「ははは、結婚してくれるのか、今日からもうここで住めよ、そうしたら寂しく無いよ」
いつだって甘やかすんだ
俺が離れられないようにするんだ
だから責任を取らせてやるんだ
「「愛してる」」
重なった言葉と一緒に二人でベッドに重なっていった。
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