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王道転校生

広い綺麗な体育館で全校集会が終わり、さぁ解散だ、というところで生徒会長から話があると声がかかった。 上段に居る生徒会長は俺を呼び上がってくるように言う。 ザワザワし出す全校生徒など気にもせず会長の前まで行き、俺はついに来たと思った。 俺と生徒会長の関係は婚約者。 親同士が家の利益の為に結んだもの。 この関係に愛が生まれる事もなく、終わろうとしている。 どうせ、初恋は実らないって言うしな。 そんな事を軽く考えているが歩く足は重い。 そりゃそうだ。 こちとら、初めて会った時から一目惚れだったんだからな。 オメガだから、アルファだからという性別なんて関係はなかった。 少しずつ距離を詰めて、ずっと一緒に居れたらいいなぁって夢見てた。 淡い夢だったけど。 季節外れの転校生。 オメガの中のオメガ。 そりゃもう生徒会のメンバーも惚れるレベルのかわいさ。 俺がアルファじゃなくても、ずっと見ていたいと思うくらいには、可愛い。 可愛さを武器に腹黒さもあるけど、許せるよね。 婚約者のはずの生徒会長様もぞっこんで、常にそばに居たはずの俺の場所は転校生に取られた。 俺が生徒会長の前に行くと、生徒会長の隣には転校生が駆け寄って来て当たり前のように並ぶ。 そして。   婚約を解消する。俺は転校生と結婚する って言うんだろ?知ってる。 何年の付き合いだと思ってんだ。 さぁ、いつでも来い!と、気持ちが折れそうなのを我慢するように顔に力が入る。 睨んでしまうのは申し訳ない。 転校生よ、そんなに怯えんなよ。 隠してるつもりでも、ほくそ笑んでるの見えてるぞ。 腹黒いなぁ可愛いから許すけど。 本当なら泣き喚いたり、追い縋ったりして良いもんだとは思う。 けど、生徒会長の婚約者と知れ渡ってからずーーっと、それこそ何年も、言われて来たんだ。 お前は生徒会長に似合わない。 早く生徒会長から離れろ。 その他似たり寄ったりの事を色々とね。 俺からは言えなかった。 家の事とか関係なく惚れていたからな。 だから、今日やっと言ってもらえるって思うとさ、長かったような、まだ居たかったような、やっと解放されるって思えるような、なんだか説明しづらい心境なんだよ。 転校生から生徒会長に視線を戻した。 あー、綺麗な顔がさ、眉間に皺寄せて怒ってるような、泣きそうな、そんな顔すんなよ。 俺の好きな笑顔でさよならしてくれれば、俺は許せるよ。 「この状況でも、何も言わないのか」 ・・・・・・・あれ? 思っていたのと違う? え!?なんで泣いてんの? 俺様何様生徒会長様が泣いてるって何!? すかさず転校生が横からハンカチで涙拭いて、「ほら、泣かないで、最後までちゃんと言ってバイバイしないと」って、お母さんかな〜? うわぁちゃぁ、号泣して嗚咽まで出てるじゃん。 「お前は!こんなオメガに俺を取られても何も思わないのか!!」 転校生を吹っ飛ばして、俺の目の前に迫る生徒会長の鬼の形相よ! 俺の可愛いナニも縮こまって、おちっこちびりそう〜!! 「いや、えーっと、ちょっと、落ち着こう?な?」 「お前が!落ち着きすぎなの!!」 えー俺のせいかよ。 「俺がお前の嫌いなメニューでご飯作っても、お前は何も言わずに食べ切るし」 嫌いなメニューって言っても、好きな人が作ってくれた物に文句を言う訳がない。 「洗濯で態とお気に入りの服を色移りさせても、何も言わないし」 基本失敗しない人間がミスったとか、ある意味奇跡的すぎて家宝物だわ。 「挙句に果てには、こんなオメガを相手にしても、止める気配もヤキモチを焼くそぶりも無いし……」 オデコとオデコを合わせて、俺ばっかり好きでズルいって、低音の甘々ボイスで囁くな! 「えーっと………   不器用にもほどがあんだろ!!!」 なにこの生徒会長。 普段は俺の事などなんとも思ってませんって顔してんのに、裏では俺に構って欲しくて仕方が無かったのかよ!! なんなのどんだけ、ヘタレなの!? そんで、こんなダメ具合を見てもかわいいって思ってる俺もダメダメだわ。

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