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第7話

外観からは思えないほどに綺麗な部屋に驚く。ただし、流石に電気はないので、辰巳が窓を開けて月明かりを部屋の中に入れた。 「確かこの辺に…あ、その辺に座ってろよ。」 備え付けの棚の中をごそごそと何かを探す辰巳に言われるがまま、靴を脱いで窓際に座った。柔らかく優しい月の明かりに心が癒されいく。 「木島っ!」 急に大声で呼ばれ、体がビクッと反応した。辰巳が手にビニール袋に入ったシャツを持って、僕の顔を覗き込んでいた。 「辰巳君、どうしたの?」 「どうしたのじゃねーよ。何回も呼んでるのに返事がないから、こっちがどうかしたのかと思ってさ…はぁ、ビビった。」 そう言ってため息をつく。 「ごめん…なんか月明かりが気持ちよくてさ。ぼーっとしてた。」 「全く、頼むよな…ほら、ジャケット脱げよ。」 ボタンに手をかけようとすると、俺がやってやるからと言って、辰巳がボタンを丁寧に外して脱がせてくれた。それを置いてあるハンガーにかけると、自分のもささっと脱いでその隣にかけた。 「このシャツな、ここの鍵をくれた先輩のなんだけど、着られるか?」 そう言って渡されたシャツのサイズを見るといつものと同じだったので、多分大丈夫と頷く。 「なら、良かった。」 「なんでここに?」 「え?あぁ、喧嘩っ早いからさ、俺。そん時に破れたり汚れたりしたままのでは帰れないから、そう言う時用にストックしてあんだよ。先輩のはその余り。」 「なるほど。」 辰巳がビニールを開けてシャツを取り出すと、少し干しとくかと言ってハンガーにかけた。 ふっと時間が止まったかのように二人の間に静けさが流れていった。 何か話さないとと身を捩ると、シャツが乳首を擦った。 「っつぅ!」 我慢できずに声が出る。 「どうした?」 「いや、ちょっと痛かっただけ…大丈夫だよ。」 「…見せてみろ。」 有無を言わさぬ辰巳の真剣な顔に押されるようにしてシャツ脱ぐ。 辰巳が膝をついたままで近付き、じっと僕の乳首を見つめる。そんな風に見つめられるのは初めての事で、どうしたらいいのか分からず、顔を天井に向けた。 「触るぞ。」 言うが早いか、辰巳の手が僕の乳首にそっと触れた。 「ひあっ!」 「びっくりした!!」 「ごめん…」 初めての刺激に我慢できずに声が出てしまった。 「こう言う事、初めてか?」 辰巳が再び僕の乳首を指で転がしながら聞いてくる。 「ん…初め…て…っん。」 甘い声が混じるのを止められず、自分の口を手で塞いだ。 「声、我慢すんなよ。ここは聞こえないから、大丈夫だって。」 そう言うと辰巳の顔が僕の乳首に近付いた。 「消毒…な。」 ペロッと舌で舐められ、声が止まらなくなる。 「辰巳…君。やめっ…てぇ。やだ、恥ずかしいよ。離してぇ!」 ふるふると首を振る僕の頬を両手でそっと触れると、辰巳の唇が僕の唇に合わさった。 え?と思う間もなく、辰巳の舌が僕の唇を舐め始めた。 「口、開けろって。」 唇を合わせたままの辰巳に言われるがまま、訳も分からずに口を開けた。 ぬるっとしたものが僕の口の中に入り、それが辰巳の舌だとわかる。 僕の舌を絡め取るとクチュクチュと音を立てて、僕の口の中で辰巳の舌がまるで違う生き物のように蠢いた。 唇を離すと、辰巳の腕が僕をゆっくりと倒していく。 仰向けに寝転ぶと、辰巳が僕のお腹のあたりに跨り、再び唇を合わせた。 「ふうふう」と言う荒い息とクチュクチュと唾液の絡まる音。時たまどちらかの口から漏れる甘い声だけが部室だった部屋の中で響いていた。

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