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 *** 「あっ……あっ……アアッ!」  目下で悶える華奢な身体へと自身の屹立を突き挿れるのに、相手の身体を労るような余裕はまったくもてなかった。  ただがむしゃらに腰を打ち付けながら、前へ逃げようと足掻く細腰をガッチリ掴んで引き戻す。 (無理だ。抑えがきかない)  欲情の渦に囚われていても、頭の片隅で考えることはできていた。けれど、身体のほうが全くといっていいほど言うことを聞いてくれない。  これは、ヒートと呼ばれる発情現象に違いない。発情期を迎えたΩのフェロモンに、誘発される形でαが起こすという知識はあったが、それを体験する時が、訪れるなんて考えてもいなかった。 「なんで、こんな所に……」  奥歯を強く噛みしめながら、自身を制御しようとするが、違う欲求が泉のようにナギの身体を満たしていく。 「うぅっ……ん、おなか、くるし……ああっ!」 「苦しい? この辺か?」 「ひっ、やぁ……おさないで!」  少し膨らんだ下腹を押すと、中の締め付けがより強くなり、ナギは眉間へと皺を寄せた。  元々αであるナギは、精液の量がβより多い。それを、イオの小さな身体の中へと断続的に注いでいるから、きっと腹は苦しいだろうとナギは容易に想像できた。 「孕むかもな」 「はら……む? わからない」  イオの声は男にしては少し高いが、これも彼がΩだからか? それを、耳に馴染む美しい声と感じてしまう自分がいた。 「名前、俺の名前を呼べ」  長く美しい漆黒の毛を掴んで彼を引き起こし、その耳元へと囁きながらも、腰の動きは止まらない。 「うぅっ……ギ、ナギ……こわい、たすけ……」  喘ぎながらも素直に名前を呼んだイオは、そこでガクリと脱力するが、気絶することを許さないナギは彼の小さな性器を握り、その先端へと爪を立てた。 「アアッ……」  刹那、かい液体がナギの掌の中へ溢れだし、手の甲を伝い落ちた雫はシーツへと染みをつくっていく。 「漏らしたのか?」 「や、やぁ……」  カタカタと体を震わせながら、失禁している姿があまりに愛らしく……ナギはイオの華奢な体を背後から強く抱きしめた。

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