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第7話:ラブレター事件
「…………」
ある日の登校の朝。普段通りに昇降口に入り、靴を脱いで下駄箱へとそれを入れる為、自身の下駄箱の扉を開ける。開けた途端に目に入ったのは、雪崩落ちてきた手紙の山。
「うわー……」
突然の事で何が起こったのか理解出来ずに、俺は無言で足もとに落ちた手紙の山を見下ろしていると、その様子を見ていた朋成くんの声が耳に届いた。とりあえずと、下駄箱の扉を閉めた、そこに書かれている名前を確認する。もしかしたら、下駄箱を間違ってしまったのかもしれないと思って。でも確認してもそれは俺の下駄箱で……。治弥じゃないんだから、なんで俺の下駄箱から手紙が雪崩落ちるの……。
「これ、明の下駄箱で間違いないから」
「……うっ」
そこに、いつの間にか俺の後ろに居て、下駄箱の中を覗き込んでいる、治弥の不機嫌そうな声が聞こえた。
「あれだね……、治弥と付き合い始めたから、同性でもいけるって事が証明されたからの行動かな」
「本人気付かないだけで、明都モテるからなー」
「え? 今までこんな事ないよ……」
朋成くんと昭二は順番に言い出していたが、身に覚えなんてないし、そんな経験をしたことが今までない。告白だって、この間、昭二にされたのが産まれて初めての出来事だったんだから。朋成くんと昭二の言っている事に対して、素直に答えると、二人はそのまま目線を治弥へと向けていた。
「これ、俺が預かる」
俺も一緒になり治弥に目線を向けると、治弥は雪崩落ちた手紙の数々を集めながらそう言って、先に教室に向かってしまった。表情は不機嫌なままだったけど……。
「今までもこうしてたんだね」
「だろうな」
先に行ってしまった治弥の背中に目線を向けながら、朋成くんと昭二は笑ってしまいそうなのを堪えている様子で話していた。って……、治弥……、手紙持って行ってしまった。
-1-
あー……、今までもこんな事は何度かあったけど、俺に頼むことが多いから、俺が明に渡すわけがないから、本人は全くしらない。 今回は相手本人に渡すわけにいかないから、実力行使できたわけか。
「明が可愛いから悪い」
「もういいよ、俺が悪いで」
本当……、この可愛い存在なのがいけない。昔から、明を女と勘違いして近寄ってくる奴はいた。男だと判れば、諦める奴がほとんどだったが、男でもいいとさらに近寄ろうとする奴もまれに居た。この駿河学園は巣窟だから男だと判っていての、この行動なんだろう……。俺の苦労は絶えることはない……。俺は教室の真ん中で、立って話をしている明を、背中から覆い被せるように抱きしめる。
「まあまあ、しょうがないじゃない」
「どこにも行くなよ、明」
「行かないって」
いつもなら、こんな公衆の面前で抱きしめると怒るのだが、俺の気持ちを察しているのか、明は嫌がる素振りを見せずに、俺のされるがままになってくれていた。
「……少しは俺への遠慮ってものはないのか」
そんな様子を見ていた昭二は、呆れた表情を浮かべながら言葉を漏らす。
「昭二はあれだね……、すっかり忘れられてるよね」
「あ……」
「冗談だから、気にしなくていい」
「んーー……」
明の頭を撫でながら、五十嵐は言い聞かせるように言うも、明は気にしている様子で両の眉を下げていた。
「明、気にしなくていいって」
「……でも」
「大丈夫、大丈夫」
俺はそのまま明の頬を撫でてから、顎を掴み後ろを向かせ、明の唇に自身の唇を近寄らせた。あと僅か数センチで重なり合うところで、明の手は俺の口を抑えていた。
「って、近い!」
「花沢……! お前は少し気にしろ!」
明の声と一緒に、五十嵐によって頭を殴られた。
-2-
昭二に頭を叩かれても、治弥は俺から離れる様子はない。下駄箱に入っていた手紙を、気にしているからの行動だからっていうのは判っているから、俺は治弥を邪険には出来ないでいた。でも……、キスは別。皆の前とか恥ずかしくて出来ない。
「よくこんなんで、今まで明都くん気付かなかったね」
「え? 治弥あんまり変わってないよ? 普通に抱き付いたりとかされてたし」
「……そうだっけ?」
そう……、今回の原因は確実に判っているけど、昔からこうやって意味もなく抱き付いてくることは、ないとは言えない。
「無自覚かよ」
「それが普通だと思ってた……、友達ってそんなもんだと思ってた」
一番近い存在の治弥がそうだから、友達って抱き付いたりするのが当たり前だと思っていた。
「あーー、だから明都、俺が腰とか触ってもなんも反応しなかったのか」
「おい、ちょっと待て、五十嵐」
「なんだろーかー??」
「明もむやみやたらに他人に触らせない!」
なんか、いつもの言い争いが始まったから、俺は聞こえないふりをして、朋成くんへと問い掛けることにした。
「今日の体育ってなにするんだっけ? 朋成君」
「えっと、2年F組との合同体育だったと思う」
俺の様子に気付いている朋成君は、笑いたいのを堪えている様子で、それでも俺の問いに答えてくれた。
「明都くん、無視しないでくれるかな??」
それでも、俺に抱き付いたままの治弥は、抱きしめる力を更に強くしたのを感じた。
「だって、治弥うるさいもん」
「…………」
「はるっ! んん!」
治弥に対して文句の言葉を口にすると、治弥の表情は引き攣って、気付いた時にはもう遅く、俺は唇を塞がれてしまった。ちょっと……、もう、皆の前とか恥ずかしいから止めてって言ってるのに!?
-3-
教室のど真ん中で、明にキスをしたら、両頬を思いっきり力強く抓られ、更に抓られたまま引っ張られた。その後は…………、明都くんが口を聞いてくれません。ごめん……、やり過ぎた。
「あ、明ちゃーーん!!」
「平良先輩だ!」
体育の授業を受ける為、体操着に着替え体育館へと行くと、同じく体操着に着替えた平良先輩が、俺らを見付けると駆け寄ってきて、当たり前のごとく明に抱き付いた。そうか……、こいつもそうだった、だから明はそれが普通の事だと感じていたのか。そういえばさっき、朋成が今日の体育の授業は、2年F組との合同体育だとか言ってた気がした。2年F組って平良先輩のクラスだっけ。
「と治弥」
「なんですか、そのついでみたいな言い方。あと一々、明に抱き付かないで下さい」
明に抱き付いたままで、平良先輩が言うから、俺はそう返す。返すと明は目線を俺に向け、しばらく見ていたかと思えば、抱き付いている平良先輩にそのまま抱き返していた。
「およ? 今日は明ちゃん大胆だね、どうしたの?」
いつもは抱き返すどころか、離れようとする明が、今日は抱き返してくるもんだから、平良先輩は不思議そうに目を瞬いていた。
「実は…………」
「あはははははーーー!!! ウケる治弥!!」
朋成が耳打ちで平良先輩に、この経緯を話したのであろう、それを聞くなり平良先輩は、俺を指差しながら大声で笑い出した。
「ウケるな……、なー……、明ーーー」
もう、平良先輩とか相手にしている場合じゃない、俺には明が口を聞いてくれないとか、一世一代のピンチなのだ。俺は、平良先輩に抱き付かれたままでいる明の肩をゆっくりと撫でながら、うなだれるように声を出していた。
「……もう皆の前でしない??」
明は俺の顔をしばらく見ていると、ようやく口を開いた。
「うん、しない」
「なら許す」
明の問い掛けにそう素直に答えると、明は笑みを浮かべながら返してくれた。
「明ーー!!」
俺は嬉しさのあまりに、明に抱き付いた、明もそれに答えてくれて、背中に明の手の温もりを感じることが出来ると、この上なく気分は上々になった。
「バカップル過ぎて……」
「治弥が馬鹿なんだろ」
「そうとも言う」
「馬鹿でもなんでもいい、明が居るならなんでもいい」
俺は腕の中に納まってくれている明をきつく抱きしめながら、しみじみとそう言葉を漏らしていた。
-4-
始業開始のチャイムが鳴り、俺達は体育の授業を受けていた。今日の体育は2年F組との合同体育、バスケットの授業だった。一年対二年での試合形式での授業で、今は治弥と昭二が同じチームになり、試合をしていた。
「なんかあの二人……」
「仲悪いと思いきや、息合ってるね」
「うん……、上手いね」
そう、見ているだけでも判る、治弥と昭二のコンビネーションは抜群で、二年生相手でも、どんどん点数を決めていく。
「治弥がなんでも出来るのは知ってたけど、昭二くんも意外に運動神経いいんだね」
「体育祭の時も足早かったんですよ?」
「体育祭……、それどころじゃなかった……」
何故か、一年A組の生徒側で観戦している平良先輩。俺と朋成くんは試合に参加していないから、そこに平良先輩は混ざって観戦をしていた。コートの外の体育館の壁際に寄りかかりながら、俺を挟んで二人は座っていた。
「……平良」
「あ、正志、ごめん、忘れてた」
そこに二年生であろう先輩が、見下ろしながら平良先輩に声を掛けてきた。平良先輩は軽く舌を出し、その人に謝っていた。俺は不思議に思い、首を軽く傾げてしまった。
「????」
「明ちゃん、俺の同室で瀬川 正志(せがわ まさし)、明ちゃん紹介しろってうるさくて」
「え? あ、泉明都です、よろしくお願いします」
平良先輩はその人を指差しながら俺にそう伝えてくる。俺は思わず、頭を下げて自己紹介をしていた。
「知ってるよ、入学してからずっと見てるから……」
「え?」
「朝、手紙読んでくれた?」
俺の隣にいた平良先輩はその場を少しずれ、瀬川先輩に場所を譲っていた。その空いた場所に腰を下ろすと、俺に身体を向け問い掛けてくる。手紙……、見る前に治弥に全部持ってかれてた……。
「明都くん、朝のあれに先輩の名前あったかも」
「ええ??」
朝のあの出来事で、朋成くんは名前に見覚えがあったのか、そう教えてくれる。
「読んでくれてなかったか……」
「えっと、ごめんなさい」
読んでないというより……、治弥が持ってるから、読めないと言った方が正しい。申し訳なくなり、俺は謝罪の言葉を口にすると、瀬川先輩の手は俺の頬へと伸びてきた。
「いいよ、これから覚えてくれたら」
頬をゆっくりと撫でられ、笑みを浮かべる瀬川先輩。それはゆっくりと、穏やかな空気が流れる、これはこの瀬川先輩の性格からくるものなのかもしれない、俺は何故かそう感じていた。
「はい……いぃ!?」
俺が返事をするのと同時に目の前をバスケットボールが通り過ぎ、すぐ近くの壁へとぶつかった。飛んできた方向に目線を向けると、怒りに満ちた表情の治弥が、今にもこちらに向かってきそうな雰囲気だった。
「花沢ー!!!!! どこに飛ばしてんだ!!」
先生の怒鳴り声を聞いて、治弥は試合を再開させたけど、先生が静止してなかったら、絶対こっちに来てた……、よね。
-5-
「言ったよね」
「……」
体育の授業の時のはなんだったんだ、思い出しても腹が立って仕方がない。俺の明に触れたのは、百歩譲って許すとしても、なんだあの距離は……、近すぎるだろう。その日の放課後、生徒会の集まりで皆、生徒会室に集まっていた。生徒会の話とかしてる余裕は、今の俺にはない。
俺は生徒会室で、明の座るパイプ椅子を向い合せにさせて、今日の体育の授業の事を、我慢が出来ずに言っていた。明は無言のまま俯いていて、顔を上げない。
「他人にむやみやたらに触らせないって」
「……」
「明都くん??」
「だって……」
それでも無言のまま、俯いて顔を上げない明は、漸く小さい声で言葉を漏らし始める。
「だっても、だからもありません!!」
「ご、ごめんなさい」
明を攻めても仕方がない事は、仕方がない。それは判っている事だが……、ちょっとは……、こう俺の事を気にしてほしい。もう片想いでもないし、恋人として付き合っているのだから。
「そんなに怒らなくても……、明ちゃん悪くないじゃん」
「元はと言えば誰のせいだよ」
元の根源である平良先輩は、俺に向かって宥めるように言葉を掛けてくる。こんな事をしているうちに、辺りを見渡せば、生徒会の面々はほとんどが集まっていた。
「誰だろう?? 治弥?」
「おめぇーだ、おめぇー!」
本人も根源である事は判ってるはずなのに、知らぬ存ぜんを決め込もうと白を切る。目線を上に向け、わざとらしく、人差し指を顎に付けては言い放つ、その素振りは、なんとも憎たらしくて仕方がない。
「なに? 平良またなんかやったんか?」
「またってなに?」
「またなにやらかしたんだ?」
「だから、またって言わないでって!」
この二年生達も、平良先輩の性格を熟知しているらしく、この対応。平良先輩って、一体学年でも何をやらかしてきているのだろう……。
「で平良は何をしたの?」
「いや……正志がね……」
「あー……瀬川ね」
「正志かーー」
「治弥くん、正志はかなりしつこいから……、頑張って」
平良先輩がただ、相手の先輩の名前を口にしただけで、想像がついたのであろう尭江先輩と牧、咲先輩。各々に納得した表情を浮かべると、咲先輩によって、忠告の言葉をもらう。
まったく、………嫌な予感しかしない。
-6-
生徒会の集まりも終わり、寮に帰って来て、俺は一人悩んでいた。体育の授業で、瀬川先輩に手紙の事を聞かれて、それはちゃんと読むべきなのか、読まないべきなのか、どうしたらいいのか判らない。寮の部屋の中央に設置してあるテーブルの前に腰を下ろし、そのテーブルに俺は顔をうつ伏せにしていた。テーブルを囲み昭二も、隣で漫画本を読んでいる。
「ねぇ……、昭二?」
「ん?」
俺は、テーブルに頬を寄せ、昭二の方に目線を向け、呼びかけると、漫画本から目線を俺に向けてきた昭二が、答えてくれる。
「昭二は告白ってされた事ある?」
「…………それ、俺に聞く?」
問い掛けると、昭二は暫く無言で俺を見てきたかと思えば、そう返されて、思わず俺はうつぶせにしていた顔を、ガバッと勢いよく上げていた。
「あ……、ごめん」
「あるよ」
「え?」
俺の反応を見てか、昭二は含み笑いをしてから、先程の俺の質問に答えてくれた。
「中学の時、付き合ってた人に」
「つ、付き合ってたの!?」
「明都、驚き過ぎ」
昭二の意外な経験の話が出てきて、目を見開き驚いてしまったら、昭二は苦笑いを浮かべて告げてくる。本当、昭二とはそんな話全然といっていいほど、話をしたことはなかったから、驚いてしまっただけで、付き合ったことがあるという事実に驚いたわけではないと、弁明はしておきたい。
「だって……、そんな話全然……」
「んー、あんまり思い出したくはないからかな」
「え? ごめん」
手にしていた漫画本を閉じると、テーブルの上に置いて、昭二は言いにくそうに告げる。その言葉はきっと、あまりいい思い出ではないのであろう事は、俺にでも予想は出来た。俺は好きだなって思った事はあるにしても、付き合うっていう行為は、治弥が初めてで、苦い思い出ということはほとんどないから、どんなものなのか想像が出来ないけど、思い出したくないというのは、相当な事なんだと思う。俺が好きだなって思った子は大抵治弥が好きで、それが判るとそうなんだってしか思わなく、その程度でしか好きにはなった事がないから、苦い思い出でもない。
「いいよ。で、どうした? 平良先輩の同室の人?」
「ん、うん」
「その気がないなら、はっきり言った方がいいと思うけどな。俺の時とはまたなんか違うし」
「……うん」
俺が聞こうとしている事が、昭二には伝わっていて、俺は昭二の言葉に素直に頷いていた。
-7-
「隠れても見えてます」
談話室にジュースを買いに行くと、後ろから視線を感じて振り向くと、そこには俺の様子を伺い、そっと壁に隠れている平良先輩の姿が目に入る。隠れているようで、本人は隠れているつもりなのだろうけど、まったく隠れていない。
「…………」
無言のままで、俺の方に目線を送る。今更ながら反省をしているのであろうことは、その表情から伺う事が出来る。俺は平良先輩の居る方に向かって歩きだす。目の前に立つと、平良先輩を見下ろした。
「平良先輩って本当、余計な事し過ぎですよね」
「余計な事って言うな!!」
「なんで紹介したんですか」
言い訳ぐらいは聞いてやろうと思い、俺は平良先輩が居る場所の隣で壁に寄りかかり、買ったジュースの蓋を開けながら問いかける。
「……えっと、しつこかったから」
「面倒になっただけじゃないですか!?」
「正志はしつこいんだぞ!」
言い訳のへったくれもないな、おい。呆れて何も言えなくなってしまう。
「これで、明の気持ちが揺れたりしたら、俺一生、平良先輩恨みますから」
「……明ちゃんの気持ち信じてないの?」
「信じてます。信じてますけど、不安なのは別です」
「不安にならなくても、大丈夫だよ、明ちゃん治弥の事大好きだから」
なんかこれ……、いつの間にか、平良先輩を攻めていたはずなのに、なんかこれ……。
「……慰められてるみたいで、腹が立つ」
-8-
「何があったってさ……、自分の事は隠さない方がいいぞ」
「隠さない?」
俺が真剣に悩んでいるのが判っているのか、昭二は真剣に一緒に考えてくれている。昭二はなんだかんだ言っても、俺と治弥の事を心配してくれる。治弥に告白されたあの日、俺が熱があるのに無理に登校したあの日、その前の日も、昭二は治弥に色々助言をしてくれていた。なんか、昭二って知らないとこで、気付くとなんかやってくれてるなーって思う。
「信じてただけ裏切られた時はつらいから」
「??」
「俺の経験からの話」
「んーーーーー……、昭二ってなんか辛い経験したの?」
さっきの言い方もそうだけど、思い出したくない事とか、気になって俺はそのまま聞いていた。
「ご想像にお任せします」
「うう」
はぐらかされて、呻き声を上げながら、俺は顔を再びテーブルにうつ伏せる。
「……なに?」
「相談……してもいいよ?」
なんだかんだ言って、昭二には助けられてるとこがあるから、俺に出来る事ないか考えたんだ。俺は真剣な表情を浮かべ、顔を上げて、昭二に問い掛ける。その辛い経験が少しでも、昭二の重荷が軽くなってくれればって思ったんだ。
「最近失恋したので慰めて下さい」
「…………」
失恋……、俺にね。これを言われてしまうと、何も言えない。どう返していいのか判らずに、俺は考え込んでいると、俯き言ってきた昭二の肩が揺れている事に気付く。
「昭二のばか!!!!」
真剣に相談に乗ろうと思ってたのに……。そう、昭二は冗談で言ってきたのだ。自ら俺に振られた事を自虐ネタとして使うのは、もう気にしなくていいって言いたいんだろうけど、これ……、このタイミングはダメ!
-9-
「とにかくさ……、明ちゃんが簡単に心移りとかしないよ?」
「……、ふと思ったんだけど」
もう、この際、平良先輩に宥められてるとか気にしない事にする。俺と平良先輩は談話室のソファーに座り話し込み始めてしまった。
「ん?」
「俺ってちゃんと愛されてんのかな」
「はぁ?」
ソファーの背もたれにもたれかかりながら、俺は目線を天井に向け、考えている事を素直に声に出して、言ってしまっていた。俺の言葉を聞いて、平良先輩は徐に驚きに表情を浮かべている。判ってるよ、変な事を言っていることぐらい。
「好きだって言われるけど、それってちゃんと恋愛対象としてなのかなって」
「なんでそう思うわけ?」
小学生の低学年の時に、明から好きだって言われた事は何度かある。そんな幼い記憶も、言われた事が嬉しくて、全部覚えているんだけど、その気持ちと今の気持ちがもしかしたら一緒で、俺が明に好きだって言ったから、明はそう勘違いしてて、その勘違いに明が気付いた時、どうするのかとか、そういう考えが募ると、不安で仕方なくなる。その不安を掻き消す為に、明を公衆の面前で抱きしめたりしてしまうわけで。
「明だって、男じゃん? 好きならそういうのしたいって思うわけじゃん?」
「んー……、うん」
「言われた事ないんだよね、キスしたいって事すら」
「……治弥と違って、明ちゃん恋愛に慣れてないんだから、言えないだけじゃない?」
「んーーー」
明が極度の照れ屋だって事は、判っている。だから明から行動に出てこないのも判る。でも、やっぱり、明からも求めて欲しいとか思うのは、贅沢な事なのだろうか。
「明ちゃんに関しては、本当……自信なさすぎ治弥」
-10-
「あれ? 治弥は?」
ちゃんと、話しようと思ったんだ。治弥と話しようと思って、朝の手紙の事も治弥と話したかったから。昭二と話した後、治弥の部屋に来たんだけど、治弥の部屋には、朋成くんの姿しか確認出来なくて、俺は部屋を見渡しながら、そう聞いていた。
「談話室に行ったと思うよ」
机に向かって座っていた朋成くんは、俺の声に反応して、椅子を回転させて振り向き、治弥の行き先を伝えてくれる。
「あ、そうなんだ」
談話室って何しに行ったんだろう……。治弥が部屋に居ない事が判り、俺はどうしようか悩みんで居ると、朋成くんは口に出さずに手招きをしてくるので、玄関に立ったままで居た俺は、靴を脱ぎ、部屋の中にお邪魔することにした。とりあえずと、こたつテーブルに足を延ばして座ると、朋成くんは冷蔵庫からジュースを出してきて、俺に差し出してきた。
「……ラブレター?」
「え? あ、うん」
そのジュースを受け取ると、朋成くんは徐にそう問いかけてくる。
「んー、読まない方がいいと思うけど」
「え? なんで?」
確信をつく問い掛けに驚いたけど、そのあとに続かれた朋成くんの言葉に、俺は思わず、首を傾けながら問いかけてしまっていた。
「それを渡してきた人の気持ちも大事だけど、それを読んで治弥はどう思うかな……って事」
「…………」
治弥は……どう思う? 朝、俺の下駄箱から出てきた手紙の数々を目にすると、治弥は見るからに怒った表情を浮かべていた。その後は俺に抱き付いて、しばらく離れなかった。それに……不機嫌になってた。
「じゃあ、治弥がラブレター貰って、丁寧にそれを読んでたらどう思う?」
「や、やだ」
治弥は昔から、モテて……。告白されたり、ラブレターもらってたりとか、本当……、頻繁で。それを見てたあの時の俺は、なんだか治弥を取られるのが嫌でって思ってたけど……、今なら判る。あれは、ヤキモチだったんだ、取られるのが嫌だって気持ちもあったけど、治弥の事を好きだって言ってた女の子達に、俺ヤキモチ妬いてたんだ。
「そういう事だよ、明都くんにとって、治弥の気持ちの方が大事じゃない?」
「……うん」
……俺にとって、治弥の気持ちの方が……、うん、すごく大事。あの時の俺と、今の治弥が同じ気持ちで居るなら……、そんな想いは抱えて欲しくない。
-11-
「長年片想いだったから、なんかまだ実感がわかないというか」
そう、物心ついた時には明はもう既に傍に居た。実感したのは小学校に入ってからだけど、ずっと、明が好きだった。明が傍にさえ居てくれれば、なにも要らないと思ってるほどだった。それが、今は両想いで……、明が俺を好きだと言ってくれている。この状況が、昔は雲を掴むような事だったから、手にしている今、掴んでいる実感が湧かない。
「それだけではないでしょ。恋愛に不安ってのは付き物だよ」
「え? 平良先輩でも不安になったりすんの? あんなに仲良さそうなのに……」
平良先輩からは、到底想像出来ない台詞が聞こえて来て、俺は思わず、目を見開き、問い掛けていた。なんか、平良先輩と和を見ていると、不安のふの字も思い浮かばない。それくらい、いつも仲がいい。俺らが入学してから、一度たりとも喧嘩というところを見た事はない。
「俺と和にしか、わからない事があるんだよ!」
「そういうもん?」
んー……、やっぱり、想像が付かない。二人にしかわからない事……、そう言われると、俺と明はどうなんだろうとか、考えてしまう。俺は観察するように、目線を平良先輩へと向け、先輩の顔をジッと見つめてしまっていた。平良先輩と目線が合うと、目を細め先輩は笑っていた。
「そういうもん。治弥と違って愛されてる実感はあるけどね」
「…………惚気?」
その目線はきっと、和を想っての目線なんだろう……、温かくて優しげな……、愛しい人を想っている目線。
「そうとも言う!」
「よござんした」
「うわ……、めちゃくちゃ冷めた目された……」
「当たり前だ……」
前言撤回……、くそ……、なんだあの、誇らしげで自慢げな表情は……。ちょっとだけ、尊敬したのに、平良先輩はやっぱり、平良先輩だった。
-12-
「あとね……、治弥多分言ってないと思うけど」
俺が、朋成くんの言った言葉を考え俯き、テーブルに目線を下ろしていると、朋成君は静かに俺の頭に掌を添えて、ゆっくりと撫でながら言ってくる。
「え?」
「例の彼女。この間呼び出された時に、ちゃんと言ったらしいよ」
例の彼女とは……、きっと、治弥の元彼女の、朱美ちゃんの事を言っているのだろう。濁した言い方をした朋成くんに目線を向け、俺は何を言おうとしているのか、見当が付かずに更に問い掛ける。
「……なにを?」
「明都くんと付き合うことになったからって、もう連絡してこないでほしいって」
「え?」
「治弥なりのケジメだろうね……、いつまでも中途半端じゃ、彼女も可哀想だしね」
「…………」
この前、治弥は彼女と付き合った理由を、俺への気持ちを忘れる為に付き合ったと言った。忘れる為に彼女に甘えたと……。治弥が彼女に呼び出されて、直ぐに行くのは、それは償いだったのかな……。
「明都くんもいつまでも気にしてるの嫌でしょ?」
「……うん」
「本当みたいで、スマホが鳴ってから出掛ける事無くなったなー」
彼女の事を考えて、治弥は伝えたのだろうけど……、もしかして、彼女よりも俺の事を、一番に考えてしてくれた事なのかな……。彼女の話題が出てくると、きっと俺は、面白くないって顔……、してただろうし。
「俺……、治弥のとこ行ってくる」
「いってらっしゃい」
ヤキモチ妬いてる俺の事を考えて、してくれた行動だとしたら、やっぱり俺は嬉しくて。なんだか、無性に治弥に会いたくなった。朋成くんにそう言うと、朋成くんは、笑いながら片手を振り、俺を見送った。もう、考えてる事が朋成くんには、お見通しみたいでホント……恥ずかしい。
-13-
「とにかくさー、もう本当、明に誰か紹介するとか最後にしてくれよ」
「わ、わかってるよ」
「はぁー」
俺達は談話室を出て、自分の部屋に戻る為、歩き出していた。とにかく、平良先輩にはそれだけは、もう勘弁してもらわないと、俺の身が持たない。俺は平良先輩の返答を耳にすると、深く溜息を漏らしてしまった。まったく信用にならない返答、不安でしかない。
「もー! 大丈夫だって! 俺が保障するって」
「…………はいはい」
俺の溜息を聞くと、平良先輩は慌てたように俺の袖を引っ張りながら弁解してくるが、俺をからかう為ならなんだってする平良先輩だから……、信用できない。
「本当、ごめん」
平良先輩を見下ろしながら、流し見ていると、平良先輩は徐に俯き、小さく俺にそう言ってきた。そんな平良先輩を見ていると、自然とその頭を何故か撫でていた。ちょっと、攻めすぎたかな……。
「ん」
「え!? なんで今頭撫でられたの!?」
平良先輩は俺に撫でられると、心底驚いたのか、目を何度も瞬き、後ろへと後退ると、両手を自身の頭に乗せていた。
「なんか、本気で反省してるなーっと思ったら、やってた」
「治弥に子供扱いされるとか……!」
…………、こいつは。
「お前、反省してるのか、してないのかどっちなんだよ!」
「してるってばー!」
信用しようとした俺、お疲れ様。こいつ、二度と信用しねー。
-14-
「……あ」
「明都くん……」
治弥を探しに談話室へと、俺は足早に歩いていると、寮の廊下の向こう側から、平良先輩の同室の瀬川先輩の姿が見えた。瀬川先輩と目線が合ってしまい、俺が立ち止まっていると、瀬川先輩は近寄って来た。目の前で先輩が立ち止まるから、俺は頭を軽く下げて挨拶をする。
「ど、どうも」
「それは、顔は覚えてくれたと、とっていいかな?」
「んん、あのでも、瀬川先輩」
「名前で呼んでほしいな、明都くん」
「えっと……、あの、俺、急いでるので」
挨拶だけをして、通り過ぎようとするが、それを瀬川先輩はさせてくれない。早く、治弥の所に行きたいのに……。
「俺の手紙読んでくれた?」
「…………」
瀬川先輩の問い掛けに、俺は思わず口籠ってしまう。だって、読んでないっていうのが、答えであって、でもそれを正直に言っていいのか判らなかったから。
「明都くんって正直だね」
答えが判っていたのか、瀬川先輩は俺の表情を読み取ると、苦笑いを浮かべて、そう言葉を漏らした。
「俺、治弥が好きです、だから、ごめんなさい」
俺の気持ちは治弥にある。好きだって気付いてから、毎日、治弥への気持ちは膨らんでいて、どこまで溢れてしまうのか、自分でも判らないんだから……。それはちゃんと伝えなきゃいけないって思う。瀬川先輩の為にも、治弥の為にも……。
「花沢治弥、学業面では、学年トップ。運動もオールマイティにこなす。本当……出来た男だよね? 顔まで良いとくる」
「…………」
「明都君が花沢治弥を好きなのは知ってる……それでも、俺は君が好きなんだ」
「…………」
今までの経験上、こんなふうに言われた事も、言い寄られた事もないから……、なんて答えていいのか判らずに、俺は再び口籠ってしまった。
「君を困らせる気はない。ただ……俺と仲良くしてくれれば、それでいい」
「仲良く?」
「そっ、廊下ですれ違ったら、挨拶し合える仲に……ね?」
挨拶し合える仲に……。それぐらいならいいのだろうか……、それは友達とか知り合いとかの範囲なんだろう……。
「それなら」
「ありがとう、明都くん」
俺はどうしたらいいのか判らずに、頷いて、瀬川先輩の言い分に同意をしていた。
-15-
寮の階段にさしかかると、平良先輩はもう一度謝り、二階の自身の部屋へと階段を登っていった。それを見送り、俺は自分の部屋へと向かい歩き始めていた。廊下を歩いていると、あの平良先輩の同室の瀬川先輩と、明の姿が目に映る。
近くまで歩み寄れば、二人の会話が聞こえてくる。なんだろうか……、開いた口が閉まらない。口説かれてるのに、気付いてないだろう……明都くん。
「まずは、ほら名前で呼んでくれるかな」
「え。……いきなりって恥ずかしいんですけど」
「んーー、そうしたら、仲良くなれた実感が湧くんだけどなー」
「えっと、じゃあ」
「呼ばんでいいし、仲良くなれた実感とやらも感じんでいいわ」
「え? え? 治弥!?」
俺が二人の会話に割って入れば、明は驚いた表情を浮かべて振り向いた。そんな明を俺は、そのまま腕を引き抱き寄せる。この腕の中にいる存在を、俺は何が何でも離すつもりなんてない。
「先輩? これ、俺のなんで、手を出さないでもらえます?」
「手は……、まだ出してないけど?」
「いけしゃあしゃあと……」
「なにか?」
「いいえ!!」
さっきの会話を聞いてても思ったけど……、この先輩は物凄く、口が上手い。相手を上手く誘導して、会話を進めていける人だ。それに気付けない明なんて、簡単に誘導されてしまうな……。頭は相当切れるな……、この先輩。
「治弥??」
会話を終わらせても、俺と瀬川先輩がずっと目線を合わせたままで居るのを疑問に思ったのか、明は不思議そうな表情を浮かべて、俺問い掛けてくる。それに……、人前で抱きしめているのに、嫌がらない……、いつもなら、恥ずかしいって言ってくるのに。もしかして……、俺が怒っていると思ってる……?
「部屋、戻ろうか?」
「ん、うん」
俺は明の手を握り、先輩に一礼してその場を離れ、部屋に向かった。
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治弥に手を引かれて、俺は治弥の部屋へと入った。治弥は無言のまま、玄関の扉を閉める。瀬川先輩と話してるとこに、治弥が来るなんて思いもしなくて……、いや、部屋から談話室に通じる廊下だから、治弥が通るのは当たり前なのに。
「待って!? ……はるっん!?」
玄関の扉を閉めると、俺は治弥によって玄関に抑えられた。驚いて見上げると、治弥はそのまま俺の唇を自身の唇で塞いでくる。
「んっ……んん」
以前をそうだった、治弥がこうなると、止まらない事を知ってる俺は、されるがままになっていた。
「はるっ……んっ」
唇が少し離れたところで話しかけようとしたら、また唇を塞がれた。 俺の中に舌が侵入してきて、治弥の舌が俺の口内を犯す。治弥の熱い愛撫に俺は、頭が朦朧としてきていた。舌が絡み取られ、体が反応しているのが解る。膝に力が入らなくなると、俺はその場に崩れ落ちた。
「はるっ……み!?」
崩れ落ちても俺の背は、玄関の扉に寄り掛かったままで、そんな俺を、治弥は膝を付いてしゃがみ抱き締めてきた。
「明……愛してる」
耳元で囁かれると、体の奥から熱が込み上げてくるのが解った。そして、また触れるだけの優しいキスをしながら、俺のネクタイを緩めていく。
「治弥!? 待って!!」
頬に唇を落としている治弥が、何をしようとしてるのか解って、俺は必死で治弥を止める。首筋に唇を落とし、きつく吸い始めた。
「ちょっ……、そこ見えるよ!?」
「見せとけばいいんだ……明は俺のだから」
ブレザーを肩まで下げられ、Yシャツのボタンも外される。胸を治弥は直に撫で始めた。
「あっ……待って!? 廊下に聞こえちゃうって!?」
もう、さすがに恥ずかしいから、俺は治弥を必死で止める。だって、ここは玄関で、扉の向こうは廊下で、まだ消灯時間まで何時間もあって、食堂で夕ご飯を食べ終えて、部屋に戻る生徒達が行き交ている。そんな生徒達に聞かれてしまうのは、ものすごく恥ずかしい。
「うん」
「うんじゃなっ、やっ……あっ」
その時、背にしていたドアが開き、俺はそのまま寄りかかるものがなくなり、背中から倒れてしまう。もちろん、俺を抱きしめていた治弥も、俺の身体が突然倒れたもんだから、俺の上に覆いかぶさる形になりながら倒れてしまった。
「………あっ!? ゴメン邪魔しちゃったね」
ドアを開けたのは朋成くんで、それはもちろん、治弥の部屋であって、朋成くんの部屋でもあるんだから、こうなる事は判っている事で……。見上げた形になりながら朋成くんと目線が合う。朋成くんは俺達を見下ろしながら、そう申し訳なさそうに言ってきた。
「うん……スッゴく」
「もぉお!! 治弥!?」
それに対して、治弥は真剣な表情で、普通に言うもんだから、俺は思わず治弥の頭をグーで殴ってしまった。
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「あーきー? あきとくーん?」
うん、明が朋成の後ろに隠れて出てこなくなりました。はい、いつものパターンです。
「また、嫉妬でもして無理強いしたんだろ」
「いや……、うん、まあ」
それもあるんですけどねー……、俺のものだっていう実感が持ちたかったというか、誰にも渡したくなくて、キスしたくなって。キスしたら、もう明が可愛い反応するから、止められなくなったというか……。うん、止められなくなるの、俺の悪いとこですね。
「……でも、さっきのは怖かったとかじゃないよ?」
俺と朋成の会話を聞いていた明は、朋成の背後から顔だけを出すと、俺の様子を伺いながらそう、小さく言葉を綴る。
「聞かれるのが……、恥ずかしいだけ」
顔はどこかほんのり赤らめていて、目線を泳がせながらそれでも必死に伝えてくる。その姿は本当に可愛らしくて、俺は明に向かって両手を広げ呼びかけた。
「明……、もうしないからこっちおいで?」
「……ん」
んー……、本当、可愛い明都くん。小さく頷くと、明は朋成の後ろから出てきて、両手を広げている俺の胸に飛び込んできてくれた。俺はそのまま明を抱き寄せて体温を確かめる。
「奥村先輩のルームメイト?」
朋成は明が俺の元に来たのを確認すると、自分の学習椅子へと腰を下ろして、いつもの事だと笑いながら問いかけてきた。
「うん……、まあ」
「あ、俺ちゃんと断ったよ? 治弥の事好きだって言った」
腕の中に納まっていた 明は俺を見上げ、真っ赤になりながらも言ってくる。そう言ってくれたから、もうラブレターなんかいいやって思った。
「俺も、明が好き」
明の赤く染まった頬をゆっくりと撫でながら、俺は明の唇に自身の唇を寄せる。もう一度、触れるだけのキスをしたい感情の赴くままに……。
「朋成くんが居る!!」
「はい……、ごめんなさい」
キスする前に、明に俺の口は両手で抑えられました。一瞬、朋成居るの忘れてました。はい。
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