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『溜息は恍惚が滲む』
「うっ、ぅう」
滑りが足りないのか、引っ掛かりながら少しずつ指を飲み込んでいった。
想像していたような衝撃は無かったが、じわじわと割開かれていく感覚は快紙一重の不快感がある。
「――想像以上だ。凄く、柔らかいな……ゼリーみたいだ」
入り交じる溜息は恍惚が滲む。
硬い肉の輪を潜り入り口を抜ければ、内部は伸縮機能があるから思っていたよりも柔軟に異物を受け止める事が出来た。
息をゆるゆると吐きながら、錦は指の硬さに驚く。
脳裏に浮かぶのは伸びやかに動く、長く美しい海輝の指だ。
それが、今恐ろしいほど太く硬い物に感じた。
「痛くない?」
「へい、き」
蒸れた空気がさらに湿り気を帯びる。
掠れたため息をつく。
熱が纏わり爪や関節の凹凸にのめり込む。
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