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『慄く』

 異物に馴染まないまま、体内が不快から快に傾き始める。  排出する場所に受け入れる異物感。  体の内部を他人に触れられる違和感。  繊細な粘膜を擦る微かな痛み。  そして、本来は触れさせてはいけない場所に触れさせる背徳。  気持ちが良い。  思考と理性を焼いて溶かすには充分な程の快感を得る。 「はっ、ぁ」  ――しかし、第一関節を通り過ぎた所で、拒絶が強くなる。  粘膜が絡み指先が進まないのだ。  力を抜こうとするが指を意識して締め付けてしまう。 「っ、う、……て、る」 「大丈夫かな?」  小さく頷く。  異物感と圧迫感に体が本能的に慄く。  第二関節に触れる寸前で、完全に指の動きが止る。  海輝は指を少しだけ抜いてわずかに残るオイルを垂らし、もう一度侵入を試みるが同じ所で行き止まりになる。

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