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『蠢き』
眉が下がり、縋る思いで海輝を見た。
どうしたら良いのか問う眼差しに、宥める様にこめかみに唇が落される。
「大丈夫。これが当り前の反応なんだよ。痛くない?」
痛くない。
痛くはないが……。
「変な……感じがする」
含んだ指が少しだけ動く。
指先が僅かに、粘膜を撫でると錦の腰が大きく跳ねる。
異物を押し返し出そうと力めば、一層鋭く摩擦を感じびくりと震える。
「ぅっ、……て」
「力抜ける?」
何とか力を抜くが、異物感に内部が動く。
指を締め付けていた粘膜が刺激を逃がす為に蠢く。
押しだす動きに自然と中が開かれる。
開かれるが元々は閉ざされていた場所だ。
指が抜け出す前にすぐに元に戻る。
何度も繰り返す蠢きが、パクパクと酸欠に苦しむ魚の口を思わせる。
その動きが海輝を喜ばせた。
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