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『吐き出す息さえ奪われて』
熱源を煽る錦の手の上に海輝の汗ばんだ手が重なる。
ゆっくりと手を上下に滑らせながら時折海輝が腰を突き上げる。
呼吸が荒くなり、乱れる表情を見上げながら口付を強請る。
息が出来ない程の激しさで海輝が唇に貪り付き、余裕のない性急な動きで舌が口内を弄る。
吐き出す息さえ奪われて、苦しさに口を開けば飲み込み切れない唾液が流れ落ちた。
大腿で海輝の腰を擦り上げると、骨と筋肉のうねり腹から胸に熱が放たれた。
海輝が荒く息を吐きながらも、少し驚いた様な瞳を見せる。
予想外のタイミングで達したのかもしれない。
錦は薄く笑む。
大量のそれに満足し笑みを深める。
肌の上に広がる劣情に指を這わせれば、糸を引く。
ぬるつく粘液を肌の上で広げ、指ですくう。
「錦」
眼を見開く海輝の前で、糸引くそれを唇に含んだ。
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