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第20話
我のいるこの洞窟、ここは人間界にあってそことは異なる場。
一人ここで住まう寂しさを埋める為、ただ一人の人間のみをこの場に幽閉することを天から赦され、何人かと過ごして来た。
しかし、その全ての者が我を恐れ、我と共にある事に疲れ、その身と命を犠牲にここから出て行った。
そのような事が続き、我は誰とも過ごさぬと誓った。
しかし、あの夏祭り。社の神がこの地からいなくなるという事で、少々派手に催したのが今となっては良かったのか悪かったのか。
その音に釣られてあの三人が迷い込んで来た。
本来ならば社の神を祀る社の子しか入れぬ神域なれど、同じ名であったが為に全員を域内に受け入れてしまった。
もう誰とも過ごすまいと心深く決めていた我の心を揺さぶったのがかつとしだった。
かつとしを見た瞬間にただただ欲しいと思った。
この者の命と時間を止めても、我はこの者と永久 にいたいと。
しかし、その手を掴もうとした瞬間、我に他の者の手を社の子が握らせた。
瞬間、怒りに身体が熱くなったが、社の神がこの子は我の守護人 なれば、傷つけること能わず。と我からその子を後ろ手にして守った。
社の神の顔を立てる為、その子供に約束を契らせ、我の欲しい子にも約束を契らせた。しかし、人の世に戻ると、その事はまるで水に溶ける塩のように薄まり、我との約束は果たされぬまま、仕方なく身代わりとして置かれた子を我の箱に閉じ込め、そこで飼い続けた。
かつとしの事は時々我の手のモノに見に行かせてはいた。しかし、成長し、結婚し、別れ、両親との死別を迎えても、かつとしはあの日の記憶の断片のみしか思い出さずにいた。
本来は違反行為なれど、酒に酔ったかつとしをある男に憑らせた我が、洋風の宿にて記憶の断片を開かせようとしたが、いつの間にかかつとしに逃げられ失敗したという事もあった。
そして事が動く。
止まっていた時がその鐘を打ち鳴らす。
我はあまりの嬉しさに、かつとしをここに早々に慣れさせる為のあるモノを施しに社の新しい地に赴いた。
昔の世ならば我にも力があったが、信仰心の薄まった今の世にあっては、我の力も相当に落ちていた。
それに気が付かず、かつとしに我が媚薬を施すが、我の力不足によって何もする事が出来ず、かつとしの想いとそれに乗じた社のとの痴態を、見せつけられる羽目になった。
「卜部さん、私のこの気持ちを受け入れてくれなくてもいいのです。あなたの好きなようにこの私を、誰の身代わりだろうとも構わない。どうか抱いて下さいませんか?」
「し…芝野さん、いいえダメです。あなたの状況はどう考えてもおかしい。そんなあなたを抱く事なんて私にはできません。」
正直、社のは相当に頑張った方だとは思う。
もしもあれが我なら、一も二もなくかつとしを抱いていたであろう。
「抱いてくださらないのなら、私にそれをお貸し下さい。さぁ、出して。私にそれを下さい。」
かつとしが社のの合わせを捲ると、その中心で盛り上がりかけていたソレを口に含み刺激を与え出す。
「し…柴野さんっ!」
かつとしに施した媚薬にあてられたように社の頭もついにはその理性を手放した。
「ここに、この私の恥ずかしくもあなたが欲しくてたまらずに疼いているここに、あなたを下さい!」
「っ!」
自らの手で広げたかつとしの中に社のモノが媚薬によってスムーズに入っていく。
しかしその瞬間、我は社のから流れる感情の中に、我が愛しい者への裏切りを知った。しかしそれは我の望む事でもあり、ただただかつとしを哀れに思う。
幸せそうに社のに愛され、その結果が体内を潤していく。
「あなたで私の中を…っんあぁぁあっ…みた…あっ、あぁっして!
「柴野さん、申し訳ないっ!」
「またくるぅっ!っちゃうぅんくぅんっ!もっと激しく…もっと…んあっ…あーーーーーーーっ!」
「柴野さん、すまないっ!
この夜の事は我の忘れようにも忘れられない、そして忘れてはならぬ一夜として、心と脳に刻みつけた。
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