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第30話

「気にするな、桂の事は楓に任せておけば良い。」 「主様にとって、桂さん達とはどの様な方達なのですか?」 「あぁ、言ってなかったか…我の作りし者達、と言ったところか…。」 「作った?」 克敏が首を捻る。 「あやつらの元は狼と猫よ。」 「え?」 「我の地でその最期を迎えようとしていたのを、少々かわいそうに思うてな…戯れに命を永らえさせてみた」 「そうでしたか…」 「楓がそろそろ桂とな、まぁ、そう言う仲になるとは思うのだが…。」 「でも、桂さんは主様の事を…」 「あれは一時のものよ。我とこの様な事をするなどとは思いもしていない、幼き子の恋心よ。」 先程の桂の目を見れば分かる。 「昨日の儀式も、ほんのところ桂には我らの行いが何だったのか、理解はしていまい。」 「え?そうなんですか?」 克敏が我を睨む。 ならば見せなくても良かったのでは?と、その心を読むまでもない。 「楓がその事をきちんと伝えるであろう。我らが行為の意味と、それをする二人の気持ちをな。」 克敏の額に口付ける。 「主様…」 「我もきちんと考えての事…そのように可愛く睨むな。」 俯く克敏の顎に手を添えて上を向かせると、その口に我の口を合わせる。 克敏の腕が首に周り、はらと体を隠していた布が落ちた。 ふと、それが透き通っている部分が見えた。 口を離し、その体を確認する。 すでに婚姻の儀を行いし克敏は、我と共にいるだけでその活力を得る為、先日までの様な濃い糧は必要ないはず。 されどこの状況は…考えている間はない。 克敏も己の姿に驚き、我を縋る様な目で見つめている。 「ともかく今は、我を受け入れてもらうしかあるまい。良いか?」 「主様にお任せします。」 愛撫もそこそこにともかく、我を受け入れる一点にのみに刺激を与え、準備をさせる。 静かだった室内を甘い声も吐息もなく、我らの荒くなる息だけが呼応する。それがまたこの焦りに追い討ちをかけてくる様で、それは色気などとは無縁のただただ満たさねば、消させてなるものかと言う行為を我等にさせ続けた。

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