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第二章 丈士の秘密
「ね、そんなことよりさ。寝ようよ、エッチしよ?」
異形の姿を見られても、七瀬は変わらなかった。
「エッチしてもいいけど、2つ条件がある」
「え~?」
「お前の正体、全て見せてみろ。それから、俺とセックスしたい理由を話せ」
「面倒くさいなぁ」
ダメなら俺は帰る、と腰を上げた丈士を、七瀬は必死で押しとどめた。
「解った! じゃあ、僕の本当の姿を見せるよ!」
七瀬は、体をひとつ揺すらせた。
すると、頭部には短い角が生え、耳が長く尖り、先ほどの尾の先が少しだけ尖った。
背中には、小さな羽がちょこんと姿を見せた。
「……どう?」
「弱そうだな。期待外れ」
「ひどい! 僕、これでも悪魔なのに!」
その反論はすっかり無視して、丈士は指を二本立てた。
「二つ目。俺とセックスしたいわけは?」
「悪い人のタネを体内に入れれば、より早く立派な悪魔になれるんだ」
人間に悪いことをして修行を重ねれば、さらに早く一人前になれるのだ、と七瀬は言う。
「でも人間に悪を勧めるのは僕の性に合わないし、面倒だし。だったら、悪い人とエッチする方が手っ取り早いし、気持ち悦いし」
「悪事が性に合わない悪魔、か」
丈士は、可笑しくなった。
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