9 / 75

第二章 丈士の秘密

「ね、そんなことよりさ。寝ようよ、エッチしよ?」  異形の姿を見られても、七瀬は変わらなかった。 「エッチしてもいいけど、2つ条件がある」 「え~?」 「お前の正体、全て見せてみろ。それから、俺とセックスしたい理由を話せ」 「面倒くさいなぁ」  ダメなら俺は帰る、と腰を上げた丈士を、七瀬は必死で押しとどめた。 「解った! じゃあ、僕の本当の姿を見せるよ!」  七瀬は、体をひとつ揺すらせた。  すると、頭部には短い角が生え、耳が長く尖り、先ほどの尾の先が少しだけ尖った。  背中には、小さな羽がちょこんと姿を見せた。 「……どう?」 「弱そうだな。期待外れ」 「ひどい! 僕、これでも悪魔なのに!」  その反論はすっかり無視して、丈士は指を二本立てた。 「二つ目。俺とセックスしたいわけは?」 「悪い人のタネを体内に入れれば、より早く立派な悪魔になれるんだ」  人間に悪いことをして修行を重ねれば、さらに早く一人前になれるのだ、と七瀬は言う。 「でも人間に悪を勧めるのは僕の性に合わないし、面倒だし。だったら、悪い人とエッチする方が手っ取り早いし、気持ち悦いし」 「悪事が性に合わない悪魔、か」  丈士は、可笑しくなった。

ともだちにシェアしよう!