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第二章・5

「んぁ、ふぁ、ひぅ、うぅ……」 「なぁ、俺のこと悪い奴だ、って解ったのは、お前が悪魔だからか?」  ぐったりと喘ぐ七瀬に、丈士は話しかけた。 「うぅ……」 「答えろよ」  しゅっ、と丈士が七瀬の尾をひとつ扱くと、彼は飛び上がった。 「ひゃあぁん!」  こくこくと、七瀬は首を縦に振った。 「丈士さんから、悪事の匂いが、したから……」 「どんな匂い?」 「腐る直前の、熟れた果物の匂い」  なるほどね。  丈士は、深く納得した。  今俺がやってるのは、悪事の片棒を担いでるだけ。  まだ、前線にデビューして、悪いことをやってるわけじゃないから。  本当の悪党になれば、腐った匂いを放つに違いない。 「おい、悪魔」 「むふぅ、うんん……」  七瀬は、眠ってしまったらしい。  これ幸いに、丈士は身支度を整え部屋を出た。 「変な奴だったけど、面白かったな」  口笛を吹きながら、家路を歩いた。

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