18 / 75
第三章・2
丈士がゼミで講義を受けていると、四つ折りになった小さな紙が回ってきた。
開くと『今晩、空いてる?』と、書いてある。
こんなことを寄こしてくるのは……、周囲を見回すと、そこには小さく手を振る三嶋(みしま)の姿が。
彼は、時々丈士と関係を持つセフレだ。
しかし、最近その頻度が上がってきている。
三嶋が、やけに擦り寄ってくる。
(本気になられると、面倒だな)
そう考えた丈士は、返事にこう書いた。
『ごめん。今夜は、先約がある』
本音で書けば、ただ『×』とだけになるところを、精一杯の思いやりを装った。
見ると、三嶋は残念そうにしている。
(そろそろ潮時か)
これ以上、彼と逢瀬を続けるのはマズい。
付き合おう、何て言い出される前に、距離を置くことにした丈士だ。
新しく、悪魔というセフレができたことだし。
ともだちにシェアしよう!