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第三章・3

 今夜は先約がある、というのは嘘ではない。  丈士は石川と連絡を取り、彼のなじみのクラブで会っていた。 「例のブツ、そろそろ収穫してもよさそうです」 「相良の腕の良さは逸品だな。花屋にでもなったらどうだ?」 「御冗談を」 「明日の午前中にでも、組員を寄こそうか」 「午前は反対! 丈士さん、僕とエッチして疲れてるだろうから」  ぎょっとして、丈士と石川は振り向いた。  そこには、七瀬がニコニコと立っていた。 「相良の知り合いか?」 「え、あ、まぁ。同居することになりまして」  丈士の返事に、石川は険しい顔になった。 「ブツのことも、話したのか」 「口は堅い奴です。ヘマはしません」  真剣に会話する二人の間に、七瀬はぐいぐいねじ込んでくる。 「僕も何か飲んでいい?」 「ああもう、好きにしろ」 「やったぁ♡」  強面の石川を見ても動じない七瀬に、彼は興味を持ったようだった。 「ずいぶん肝の据わった子だな。名前は?」 「藤丘 七瀬で~す」  運ばれてきた酒を飲みながら、七瀬は石川とお喋りを始めた。

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