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第三章・7

「ちょうだい! 丈士さんのタネ、僕のナカにいっぱい注いで!」 「現金な奴だなぁ」  そんなに、一人前の悪魔になりたいのかよ。 「どうしようかな」 「何、それ!?」 「やっぱり、やめた」  丈士は七瀬から引き抜くと、バスタブから上がりタイルの上へ射精した。 「な、何で!? 丈士さんの、意地悪ぅ!」 「俺を放っておいて、他の悪党と仲よくしてた罰だ」 「え? え!? もしかして、石川さん!?」  丈士はそれには答えず、シャワーでタイルを流した後、自分もひと浴びしてからバスルームを出ていく。 「嘘ぉ……」  火照った身体を持て余しながら、七瀬ものろのろとバスタブから出た。 「やきもち妬いてたなんて、知らなかったし」  でも、少し嬉しいかな。  初めて『七瀬』って、呼んでくれたし。 『七瀬が見習いから悪魔になったら、今度は俺が支配される番なのかな』 「それは、無いな~」  むしろ、丈士さんに、僕のマスターになって欲しい気分。  ほのかに芽生えた恋心を、七瀬は柔らかなバスタオルでくるんだ。

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