27 / 75
第四章・4
「そんな馬鹿な!」
「予報で、『所により雨』って言ってたけど!」
食事を終え、店から出て腹ごなしにぶらぶら歩いていると、にわか雨に見舞われた丈士と三嶋だ。
ようやくタクシーを捕まえて乗り込んだ時には、二人ともかなり濡れていた。
「ね、相良くんの家に行きたい」
「何、言ってるんだよ。ホテルでいいだろ」
「だって、ずぶ濡れなんだよ? 熱いシャワー浴びたい」
「ホテルに、シャワーあるだろ」
「服も乾かしたい」
「服、か」
確かに三嶋の今着ている服は、早く乾かさないと皺になりそうな素材でできている。
セフレを自宅に招く、なんてことはしたくなかったが、それで恨まれるのも嫌だった。
(七瀬がいるけど、まぁいいか)
これで三嶋が自分に愛想をつかしてくれれば、それはそれで願ったりかなったりだ。
解った、と丈士は三嶋にうなずいた。
「運転手さん、南区へ行ってください」
三嶋は腹の中で、ガッツポーズを取っていた。
ともだちにシェアしよう!