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第六章・2
「やっぱ、コレだね」
透明の、手のひらサイズのスプレーボトル。
中には、淡い黄色の液体が入っている。
一ヶ月ほど前に、友人に勧められて買ったものだ。
『気持ちを明るくして、リラックスさせてくれるハーブなんだって。誰にも言っちゃ、ダメだよ?』
友人はそんなことを言って、試供品をくれた。
三嶋はすぐにこのハーブの虜になり、1万円でスプレーボトルを買った。
その効果と高値から、そして友人の秘密めかした言葉から、三嶋はこれが脱法ドラッグであることにすぐに気づいた。
だが、自分が悪いことをしている、という意識は全くなかった。
自分だけは依存症にならないという、根拠のない自信もあった。
「ちょっと高いけど、買ってよかった」
でも、もう半分になってしまった。
「また……、新しいの……、買わなきゃ……」
服が皺になることも忘れて、三嶋はそのまま眠ってしまった。
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