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第六章・6

 どん、と石川は革製のショルダーバッグをテーブルに乗せた。 「特別ボーナスだ。取っとけ」 「これは……」  バッグの中には、札束がぎっしり詰まっている。  目を円くしている丈士に、石川は身を乗り出した。 「お前の育てた葉っぱの中に、いい線いけそうなブツが出た」 「本当ですか」  次に石川は、コトリと手のひらサイズのスプレーボトルを置いた。  中には、淡い黄色の液体が入っている。 「顔にひと噴きしてやれば、毛穴やら目、鼻、口の粘膜から成分が体内に浸透する。手軽で、便利な代物だ」 「どんな作用が?」 「覚醒感の後に、酩酊が来る。アップとダウン、両方楽しめるオイシイ薬だ」  こいつは使える、と石川は丈士の肩を掴んでひとつ叩いた。 「お前も原崎会に。組長からの盃にふさわしい人間にまた一歩近づいたな」 「はい」

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