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第六章・7

 今夜は好きなだけ飲め、と石川は上機嫌だ。  だが、丈士の胸は今一つ晴れなかった。  以前なら、喜んでいるはずだ。  普通に就職して、普通に働いて、普通にサラリーを貰って。  そんな人生はまっぴらだ、と選んだヤクザへの道のはずだった。  どうせ生きるなら、大きく生きたかった。  莫大な資産を得て、思うがままに生きたかった。  それが、近ごろ揺らいでいる。 (七瀬のせいだ)  彼に、自分のやっていることを、ハッキリ『悪』だと宣言されてから、前に進む足が鈍っている。  丈士は、差し出された酒を一気に干した。 (人間誰だって、多かれ少なかれ悪事を働いてるんだ)  そう思うことで、自分の気持ちに蓋をした。  酒を飲むことで、紛らわせた。

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